つながっている、ひろがってゆく。交流

交流トップページへ戻るボタン

記事検索アイコン
記事検索
CLOSE
このページをシェアする
  • フェイスブック
  • ツイッター
  • ライン

No.
108
Vol.01 シャツのヒミツ

カンナこと、こんなこと。

お天気がいいから洗濯しようと意気込んで、鼻歌まじりに洗濯物を干しているとき、白いTシャツを見てふっと思い出した。

アメリカで「Tシャツ」は通じるけれど、「Yシャツ」は通じないと知ったのはニューヨークに留学したときだっけ。街では看板に「T-SHIRT」と、そのまま書いてあった。横に広げたときにTの字のように見えるところから、あの形のシャツはTシャツと呼ばれるようになったようだ。だからそれにならって、Yシャツもネクタイを締めている形から、Yシャツと呼ばれるようになったのだろうと私は思い込んでいたのだが、これは実は大間違いだった。

お店の人に「Yシャツ」と言っても全く通じない。ようやく分かってもらえるまでえらい時間を要した。普段着に着るのは「シャツ」、正装用は「ドレスシャツ」、スーツ用なら「ビジネスシャツ」と言うのだと店員さんに諭された。じゃあ、「Yシャツ」はどこから来た言葉かと調べたら、「ホワイト・シャツ」( 白いシャツ) の「ホ」と「ト」が抜けて発音に忠実に「ワイシャツ」と呼んだところから「Yシャツ」になったようだ。それなら「ブルーのワイシャツ」って間違っているし、「Yシャツ」と書いたら黄色い(イエロー)シャツみたいではないかと、当時19歳だった私はへえ〜と感嘆したことを覚えている。

一つ勉強になったと思っていたら、数年後、日本の中でも関西以西では「Yシャツ」ということばが通じないことを知った。「カッターシャツ」と言うのだそうだ。どうやら「Yシャツ」を作った会社の本社が大阪にあり、その商品名だったらしい。まあ最近ではそのカッターシャツという言い方もなくなりつつあるようだが、シャツのネーミングひとつにもこんな秘密が隠されているとは思わなかった。

しかしシャツどころでなく難しいのがエネルギーのネーミングだ。いま持てはやされている太陽光や風力は「再生可能エネルギー」と位置づけされているが、「自然エネルギー」「新エネルギー」「非枯渇性エネルギー」「代替エネルギー」とも言う。「自然エネルギー」なら石炭や石油、原子力に使うウランだって自然のものではないかと思ったら、「利用する以上の速度で自然に再生するエネルギー」という意味合いでの「自然」なのだそうだ。 当たり前に使っていることばも、よくよく見ていると別の何かが、色々な何かが見えてくる。 当たり前ほど気をつけなくちゃ……とTシャツを干しながら思った朝である。

このページをシェアする
  • フェイスブック
  • ツイッター
  • ライン
関連タグ
  • 神津カンナ

作家、フォーラム・エネルギーを考える代表。長年に渡る執筆活動の傍ら、国内外のエネルギー関連施設や現場を取材し、暮らしの中のエネルギーといった視点で講演活動などを行っている。著書に『水燃えて火〜山師と女優の電力革命〜』『冷蔵庫が壊れた日』ほか多数。

pagetop