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No.
109
Vol.02 あたりまえ

カンナこと、こんなこと。

友人がドイツに行ってきた。訪れたのはフランクフルトやミュンヘンのような経済都市ではなく、旧東ドイツだったベルリン、ブランデンブルク州のポツダム、そして旧西ドイツだったハンブルクやブレーメンなど、おもに北ドイツといわれる地方だった。

その友人のお土産話を聞いていて、ちょっと我が身を反省したことがある。

彼女の旅は安いツアーだから滞在ホテルは高級ではないし、訪問先は必ずしも経済的に繁栄している都市とは言い難い街が多かったから、一概には言えないが、話を聞きながら、人々の暮らしのありようにきちんと目を向けていなかった自分に気づいたのである。

どこもほとんどのお店は20時には閉店。マックはあるものの、看板はコーポレートカラーの赤ではなく地味な茶色。コンビニは見かけないし、ネオンがないから夜になると街は全体的に暗い。旅の最中は、ホテルにチェックインするまでに飲み物などを調達しておかなければいけない。日本では当たり前のようにどこにも設置されている「自販機」は町中にもホテル内にもないからである。

そういえばと、かつて、少年サッカーチームの父兄が話してくれたことを思い出した。

彼の子どもが所属する少年サッカーチームが、スキルアップのためにドイツのある街で合宿したのだが、その合宿所には、日本では当然だと思っている近所のコンビニはもとより、コインランドリーも自販機もなかった。だから夜の飲み物は自分で昼間のうちに調達、洗濯物はお風呂のときに自分で洗い、自室に干して乾かす。

いろいろな意味で甘やかされていた日本の少年サッカーチームの面々は、サッカーそのものよりも、当初は生活を組み立てる方が大変だったようだが、そのおかげでみんな、一回り成長したという。

日本では、食料も水も明るい照明もいつでも簡単に手に入るから、全てが「当然」のことだと思ってしまう。しかし24時間営業も自販機もネオンも実はみな当たり前ではないのだ。

あらためてドイツの電力事情を調べてみると、風力、太陽光などの再生可能エネルギーは3分の1を賄うまでになっている。エネルギー政策は国によってさまざまな制約、条件の下でいろいろな組み合わせが選択されるが、その国のエネルギー事情は供給構造だけでなく、同時に、人々が実際にどんな暮らしをしているのか、そこにも関係している。そこをきちんと理解しないと見誤るなあ……と反省した。

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  • 神津カンナ

作家、フォーラム・エネルギーを考える代表。長年に渡る執筆活動の傍ら、国内外のエネルギー関連施設や現場を取材し、暮らしの中のエネルギーといった視点で講演活動などを行っている。著書に『水燃えて火〜山師と女優の電力革命〜』『冷蔵庫が壊れた日』ほか多数。

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