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110
Vol.03 情けは人の為ならず

カンナこと、こんなこと。

今年は本当に天災が多かった。気候変動やら地球温暖化やら、今まで言葉としてはよく耳にしていたし、そのことを題材に書いたり話したりもしていたのだけれど、こんなに身に沁みて感じた一年はなかった。

そしてそれは単なる「感覚」ではないと、JAXAのホームページで悟った。サイトを見られる方は見て欲しい。JAXAのサイトの中の「しきさい」が捉えた日本の猛暑......というページである。(https://www.eorc.jaxa.jp/earthview/2018/tp180801.html

JAXAは2017年12月に、気候変動観測衛星「しきさい」を打ち上げたが、その「しきさい」が観測した2018年8月1日の日本の地表面温度の画像がそこには掲載されている。世の中は冬だが、その画像を見ていると思わず汗が出そうになる。

とにかく関東、中部、関西などの都市部は高温で真っ赤である。観測時間の午前10時40分頃でも、都市部の地表面温度はすでに50℃以上になっている。けれども森林域は赤くなってはいない。ということは、緑のある場所は温度もそう上昇してはいないのだろう。そうなのだ。同じ都市部でも、たとえば東京なら皇居や代々木公園あたり、名古屋なら名古屋城付近などは、いささか温度が低い。やはり緑のおかげなのだろう。そして思う。ヒートアイランド現象とはまさに人が望んだ暮らし方が生んだものなのだ......と。「しきさい」の地点から日本を見下ろすと、あらためて温暖化の脅威を実感する。

しかし同時に、私はこの夏の終わりに、砂の堆積と闘い続けている水力発電の現場(東京電力HDの高瀬ダム)や、隠岐の島という離島で、隆盛の再生エネルギーを受け入れるために苦闘している現場(中国電力の隠岐電力所)を見てきた。みな、温室効果ガスを少しでも減らすため、そして再エネをフル活用するために必死である。それぞれの分野は本当に頑張っていた。快適性や利便性と再エネ拡大を求めながら、同時に安定供給を望むのは大変なことなのだ。

とかく私たちは自分の身の回りしか見ない。昔話の「わらしべ長者」や、ことわざの「風吹けば桶屋が儲かる」のように、みなつながっていることをもう一度、実感しなければいけない。

情けは人の為ならず。そこだけで解釈しては間違う。「巡り巡って己(おの)が為」なのだ。

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  • 神津カンナ

作家、フォーラム・エネルギーを考える代表。長年に渡る執筆活動の傍ら、国内外のエネルギー関連施設や現場を取材し、暮らしの中のエネルギーといった視点で講演活動などを行っている。著書に『水燃えて火〜山師と女優の電力革命〜』『冷蔵庫が壊れた日』ほか多数。

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