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No.
120
縦横右左

2021.06.15
カンナこと、こんなこと。

このページのレイアウトが変わって、縦書きになったようだ。そのレイアウトを見ながらふと縦書きと横書きのことを考えた。

あ、私には何でもすぐ考える癖があるのだが、それはそれで楽しい。電車に乗っていても、前に座っている人の靴からあれこれ想像したり、レストランで隣のテーブルの人が注文するものを見て、昼ご飯は何を食べたのかなあーと考えたり、まあどうでもいいことなのだが結構、頭のトレーニングになる。お金もかからないので皆さまにお勧めだ。世の中には知らずに通り過ぎるものが何と多いかと思い知らされるし、本を読んだりスマホを見たりしなくても、時間はいくらでも潰せるのである。

もとい! 縦書きと横書きの差を考えてみた。同じ縦書きでも、実は紙の右から左に移動するのと、逆さまに左から右に移動するものがある。現在、ほとんどの縦書きは右から左という流れだが、昔のモンゴル語は左から右に流れていたそうだ。

横書きは、ほとんどの言語が英語のようにLTR(左から右へ)だが、アラビア語やヘブライ語のようにRTL(右から左へ)もある。日本も一時(大正時代から昭和初期あたりまで)は、日本語を横書きする場合、日本語をRTLで書いていたようだ。英語などの横書き文化は取り入れたけれど、文字の流れは右から左に移動するという古来の日本文化を捨てきれなかったのであろうか。その時代の新聞の見出しや紙幣を見ると、横書き部分は右から左に読む形になっている。

本誌のレイアウト変更がなかったら考えもしなかったことだ!

ふと日本語を考える、本はやはり縦書きが主流だけれど、ノートは横書きのほうが多い。メモを取るときはどうだろう。私は横書きするような気がする。メールの横書きにも今はとても慣れてきた。でもはがきや手紙は縦書きだよなあ~。こうやって原稿を書くときもわざわざ縦書きでパソコンを打っているし。そう考えると、統一することの難しさをつくづく感じると同時に、何となく日本人の「柔軟さ」も見えてくる。

昔、国語研究所の人が言っていた。漢字、ひらがな、カタカナ、それにローマ字まで使っている日本人は、案外あれこれ使いこなす人たちだと。それに、縦書きも横書きもするし、この器用さ、ある意味でのいい加減さは、ちょっと面白いと思う。洋服も、和装から洋装にポンと変えながら、和装を捨てたわけではなく、肝心な時は着物を着る。神社も仏閣も教会もまぜこぜだが、この時はこれ、あの時はあれとなんだか線引きする。文化を守るのだけれど、強烈な執着や固執はしない。

この不思議な日本人の力を、なんだか膠着した今の時代にうまく使えないかとちょっと考える。そして漢字もひらがなもカタカナも読み、縦書きも横書きも「ない交ぜ」の紙面を平気で読める「自分」は、案外凄いんだと自分で自分を褒めよう!

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  • 神津カンナ

作家、フォーラム・エネルギーを考える代表。長年に渡る執筆活動の傍ら、国内外のエネルギー関連施設や現場を取材し、暮らしの中のエネルギーといった視点で講演活動などを行っている。著書に『水燃えて火〜山師と女優の電力革命〜』『冷蔵庫が壊れた日』ほか多数。

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