
ちこりの生産高日本一を誇る岐阜県。ワタナベさんは、以前よりその生産現場をぜひ取材したいと熱望していましたが、今回その願いが叶いました。行き先は、岐阜県中津川市にあるサラダコスモさん。日本でのちこり生産のパイオニアです。

もともとサラダコスモは、もやしのメーカーとして約40年間の実績を積んできた会社でした。中田智洋社長がオランダの農業視察に行った時のこと。ちこりの生産工場を見学したら、それまでサラダコスモが取り組んできた、もやしやカイワレ大根の水耕栽培とほぼ同じ条件の工場だったとか。ちこりを実食してみると少しの苦味があるのが特徴だとわかり、春先のふきのとうやタラノメなどを思い出して、苦くても美味しい野菜はある!と思ったそうです。そして、まるで人の両手を合わせたような形のちこりを見て、日本でちこりをつくろう!と心に決めたのだとか。

その開発ストーリーを聞き、「人の手の形に似ているって、言われて気がつきました。本当にそうですね。そして、そんな想いがこめられた野菜だったとは!これからは心して、ちこりをいただこうと思います。そして、やはりつくり手の方とお話したり、つくられている風景を見たりすると、素材に対する感じ方が変わり、料理づくりの刺激になるんです。だから取材に行きたい!といつも思います」とワタナベさん。

現地で感じ取ったものが、どんなレシピになるのか、そのやりとりを聞いている取材スタッフは、ちこりのメニューに期待がふくらむのでした。




サラダコスモさんにお邪魔するもうひとつの楽しみは、地元の主婦の方々が腕を振るう地産地消の家庭料理レストラン「バーバーズダイニング」で、ちこり料理がいただけること。毎日、ちこりを料理している“地元のお母さんシェフ”に集まっていただきました。

普段、ちこり村を案内している方、バーバーズダイニングで料理長をしている方、ちこりを使ったパンやデザートづくりをしている方、皆さんは、ちこりのプロです。ワタナベさんとは、ちこり料理の話ですっかり盛り上がりました。

油と相性が良いことやサラダにするなら水にさらしてアクを抜くといいとか、キムチとの相性も良いなどを聞き、ワタナベさんは料理のアイデアをめぐらせます。
「こうして地元の方と交流することが何よりの刺激になるんです」
この帰り道、早速いくつかのレシピが思い浮かんだそうで、思い出深い取材の旅となったようでした。



- 【取材協力】株式会社サラダコスモ
- https://www.saladcosmo.co.jp/

長野県や岐阜県には、その地域ごとに五平餅がありますが、中津川のものは3個のお団子状になっていて、タレにくるみが入っていることが多いとか。中津川近隣のエリアでも団子の大小や団子の形がまん丸か扁平か、また1串に3個か5個かなど細かく形態が変わるそうで、五平餅を調べていくと郷土性が語れそう!

そんなことを話しながら向かったのは、中津川駅前にある五平餅専門店の「おふくろ」。注文を受けてから焼くというお店で、焼いている間に厨房を拝見しながら、その様子を見て楽しんでいるワタナベさん。「キッチンの調理器具や配置をついつい見ちゃうんです。このお店は、段取りよく調理ができるようになっていて感心しますね」との感想が。そうこうしていると五平餅が焼き上がってきました。

ひと口食べて「美味しい!わたしの好きな味!」。直前にランチを食べたにもかかわらず、ついつい手が伸びて5本の五平餅を平らげ、そこからワタナベさんが店主の曽我眞理さんに、いろいろ質問をしていきます。秘伝のタレに、ゴマやくるみ、ピーナッツが入っていると聞き、「わたしが好きなものが全部入っているから好きなはずですね(笑)。これはぜひ息子にも食べさせたい!ケンカしたばっかりだけど(笑)」と息子さんへのお土産を注文。

店主の曽我さんのお母さまが今のお店をはじめた時、曽我さんは小学生だったそう。その頃の思い出話で盛り上がっていると、おもむろに曽我さんが「五平餅のタレは蒸したり茹でたりした野菜とよく合うんですよ」と言いながら、キッチンから野菜を出してくださいました。
「確かによく合いますね!料理が好きな人は、このタレを活用して野菜を食べると、とても楽しそう!おかげで心もおなかもいっぱいに満たされました」とワタナベさんも満面の笑みでした。




- 【取材協力】おふくろ
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岐阜県中津川市太田町2丁目4番地12号 TEL/0573-65-5014
http://ofukurogohei.com/営業時間/11:00~17:00(L.O.16:30)、注文受付は9:00~16:30