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124地域に寄り添った酒造り




日本酒の質を決定づける大切な要素は酒米である、という信念のもと、関谷醸造では自家製米を積極的に用いている。
奥三河の山里に遅い春がやってくると、田んぼの世話が始まる。冬の間に休ませていた田んぼを田植えができるようになるまで、きれいに整え、初夏に田植えを、秋には稲の頭が垂れるまで毎日田んぼを見守り続ける。
つまり、日本酒の原料である酒米が奥三河の風景の中で育つところから、日本酒づくりは始まっている、ということなのだ。
7代続いている関谷醸造では、おそらくその代ごとに大きな節目を迎えてきたはずだ。当代では、農業に参入するという大きなチャレンジを始めた。こうして育てられた地元産の酒米は、関谷醸造のブランドネームが冠された日本酒となって愛飲者の手元に届くのである。
「愛知県内への出荷が非常に多いのですが、自家製米で地元の人間が作った日本酒を地元の人に飲んでもらう、これこそ地酒だと思うのです。またそれが実現できるようになって、とても嬉しく思っています」と関谷さんは自身が考える地酒の定義を語ってくれた。