桒原さやか 信州・松本と家族の時間

エッセイスト桒原さやかさんが松本で感じる四季や自然とともに、家族でつくる日々をご紹介

コーヒーを淹れる
夫のとなりで

July 16. 2026(Thu.)

岐阜県出身のライター・エッセイストの桒原(くわばら)さやかさん。「イケア・ジャパン」やWEBメディア&ショップを経営する「北欧、暮らしの道具店」に勤務した後、ノルウェーに移住し約1年半を過ごしました。
現在は、長野県松本市で、スウェーデン出身のご主人と2人のお子さまとともに暮らす桒原さんに、松本での暮らしや家族と過ごす日常について綴っていただきます。

“夢中”が高じてできた
「桒原家のお裾分け便」

夫は出会ったときから、大のコーヒー好き。道具や淹れ方はもちろん、豆選びにもこだわりがあって、話し始めるとなかなか止まりません。これはなんだろう?と思う道具が家に届くのはしょっちゅうで、夫はいつも嬉しそうにそれらを試しています。

家の裏にあるコーヒーの焙煎小屋は、 夫がDIYでつくったもの

今までは豆を買ってきて、ありとあらゆる方法で淹れて、その違いを味わう。そんなことを楽しんできた夫が、今のめり込んでいるのは、焙煎の世界。家に大きなマシンが届いたときは、ついにここまで辿り着いたのか……と、感心したほどです。

焙煎しているうちにコーヒー豆の
甘く香ばしい香りが漂ってくる

夫を見ていると、趣味に生きている人だなぁと思います。夢中になるのが上手な人だな、とも。それに比べると、自分はどうだろう。そのときどきで、家庭菜園にハマったり、映画好きになったりするものの、彼ほど夢中になっているかというと、そうでもない気がするんです。

キッチンの一角にあるコーヒーコーナー。
豆の重さはもちろん、お湯の温度や、
お湯を注ぐ時間も毎回測る

人の気持ちの動きや揺れのようなものに昔から興味があって、それが私の今の仕事にもつながっています。
夫がコーヒーを淹れているときも、そういうものが、少しだけ見える気がするんです。
「今日は違う」と言いながら何度もやり直している様子や、うまくいったときに、ほんの少しだけ表情がゆるむときにも。
趣味と呼べるものではないけれど、こうして目の前にあるものを、少し考えて、言葉にしようとする時間は、 気がつけば長く続いています。

コーヒーを淹れるのは、いつも夫の担当。
「コーヒーできたよ〜」の合図でみんなが集合。

コーヒーを淹れるのは、いつも夫の担当。
「コーヒーできたよ〜」の合図でみんなが集合。

コーヒーを淹れるのは、いつも夫の担当。
「コーヒーできたよ〜」の合図でみんなが集合。

コーヒーを淹れるのは、いつも夫の担当。
「コーヒーできたよ〜」の合図でみんなが集合。

暑い日も寒い日も、夫はひとり小屋にこもって豆と向き合っています。少しずつ納得のいく味が出せるようになってきたころ、友人やご近所さんに豆をお裾分けしてみることにしました。
「おいしかったよ」「ありがとう」と言ってもらえることが増えて、それがなんだかうれしくて。もう少し遠くの人にも届けてみたい、と思うようになりました。
そんな流れではじめたのが、「桒原家のお裾分け便」です。
夫がコーヒーをお裾分けするなら、私は読み物を、と思って。季節の豆と、小さな冊子を一緒にお届けしています。

冊子とコーヒー豆のセット。Hej Hej BOOKは
「北欧からのお裾分け」として、我が家の
スウェーデンの過ごし方、シナモンロールの
レシピ、北欧のコーヒー事情などを書いている。

お店はHej Hej Coffeeと名前をつけました。「hejhej」はスウェーデン語で、「やっほー!」と声をかけるようなカジュアルな挨拶。友達に手渡すように、届けられたらと思って決めました。まだまだ始めたばかりで、小さな調整を繰り返す毎日です。

娘はミルクたっぷりのミルクコーヒーが好き。

実は、趣味に生きる夫がハマっているのは、コーヒーだけではありません。その興味は、なんと中華料理にも。かれこれ10年以上、レシピを研究しています。そんな夫の小さな夢は、老後に中華料理のお弁当屋さんを開くことなんです。
私は夫ほど中華好きではないけれど、彼の横で、せっせとお弁当を詰めている
自分の姿が目に浮かびます。

甘い物とともにコーヒーを飲みながら
おしゃべりを楽しむスウェーデンの習慣
「FIKA」は子どもたちにも染み込んでいるよう。
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