桒原さやか 信州・松本と家族の時間

エッセイスト桒原さやかさんが松本で感じる四季や自然とともに、家族でつくる日々をご紹介

長い冬の時期
小さな楽しみの見つけ方

December 24. 2024(Tue.)

岐阜県出身のライター・エッセイストの桒原(くわばら)さやかさん。「イケア・ジャパン」やWEBメディア&ショップを経営する「北欧、暮らしの道具店」に勤務した後、ノルウェーに移住し約1年半を過ごしました。
現在は、長野県松本市で、スウェーデン出身のご主人と2人のお子さまとともに暮らす桒原さんに、松本での暮らしや家族と過ごす日常について綴っていただきます。

我が家の寒さ対策

松本は雪がかなり積もるでしょう?

友人からよく聞かれますが、実はそうでもありません。降ったとしても、昼間のうちに溶けることがほとんど。しっかりと積もるのは、年に2、3度くらいでしょうか。むしろ、頭を悩ませているのは寒さのほうかもしれません。

冬は小さな明かりを家中あちこちに灯します。

松本は標高も高く、マイナス10度前後になることもしばしば。とくに築45年の古い家に住んでいる我が家では、朝晩の冷え込みはなかなかのものです。サッシにすきまテープを貼ってみたり、洗面所に小さなヒーターを置いたりと、あたたかい家を目指して日々改善中です。

寒くなってきて、冬の光になってきました。

今年も、押入れから冬のお助けグッズを取り出しました。

床の冷えから守ってくれる、ルームシューズ 。
ソファーでごろごろするときに欠かせない、ブランケット。
作業中に肩からふわりとかける、ショール。
布団の中をじんわりあたためてくれる、湯たんぽ……。

どれもこれも長年愛用している、冬の相棒のようなアイテムたち。今シーズンも毎日のように手にしている我が家のお助けアイテムです。

LAPUAN KANKURITやKLIPPANなど、
北欧のウールグッズは子どもたちもお気に入り。

LAPUAN KANKURITやKLIPPANなど、
北欧のウールグッズは子どもたちもお気に入り。

LAPUAN KANKURITやKLIPPANなど、
北欧のウールグッズは子どもたちもお気に入り。

LAPUAN KANKURITやKLIPPANなど、
北欧のウールグッズは子どもたちもお気に入り。

少し前、古い家に住んで10年以上になるご近所さんと話していました。「寒さ対策はどうしているのか?」と聞いてみたところ、こんな答えがかえってきたのです。

「我が家では、冬の家の寒さは風情だと思うことにしているの。寒かったら、あぁ、風情だなぁと声に出して言うのよ」

はじめて聞いたときは、ちょっと驚きました。でも「寒い、寒い」と嘆くよりも、「これは風情だ」と受け入れてしまったほうが気分がいいし、なにより楽しそうです。

ベリーのフレーバーティーは寒い季節の楽しみ。

物事のネガティブなところを見つけたときは、それを改善することばかりについつい目を向けてしまう。でも出来ることだけやったら、そのことを悪いとも良いともせず、ときに忘れてみたり、遠くから観察してみたりして、程よい距離感を保つのもいいかもしれない。そうするうちに、目の前に起きていることのいろんな面が見えてくるような気がするのです。それは面白いことだし、何よりも自分をラクにしてくれるだろうな、とも。

そうか……、どんなことにも楽しみを見つけられる人は、肩の力が抜けている人と言えるのかもしれない。そんなことをぐるぐると考えながら、家まで帰ってきました。

キャンドルの炎を見ていると、
ふっと気持ちがやわらぐ。

気がつけば、今年ももう年の瀬。1年の中でもいちばん寒さがカラダに染み込む時期がやってきました。
今年も我が家ではときおり風情を感じながら、冬の信州を楽しんでいます。

外の景色が楽しめるこの椅子は、
子どもたちの定位置。
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