桒原さやか 信州・松本と家族の時間

エッセイスト桒原さやかさんが松本で感じる四季や自然とともに、家族でつくる日々をご紹介

夏の楽しみ、
涼しい風の吹く時間

August 27. 2024(Tue.)

岐阜県出身のライター・エッセイストの桒原(くわばら)さやかさん。「イケア・ジャパン」やWEBメディア&ショップを経営する「北欧、暮らしの道具店」に勤務した後、ノルウェーに移住し約1年半を過ごしました。
現在は、長野県松本市で、スウェーデン出身のご主人と2人のお子さまとともに暮らす桒原さんに、松本での暮らしや家族と過ごす日常について綴っていただきます。

我が家の習慣

「今日はデッキで食べる? それとも、家の中で食べる?」

これは我が家でよく聞こえてくる会話です。真冬のさむい時期をのぞいて、気持ちのいい天気の日は、おやつはもちろん、ふつうの食事も庭のデッキスペースでよく食べます。

「晴れているのに、ずっと家にいるなんてもったいない」

これはスウェーデン人である夫の、出会ったころからの口癖。マンションに住んでいたときも、ベランダのすみっこの小さな椅子が定位置で、そこで日光浴をしたり、おやつを食べたりするのが夫の楽しみでした。

くつろげるよう、夏が訪れる前に
デッキの塀をDIYで制作。

以前はそんな彼の行動がふしぎだったものの、北欧に一度住んでからはその理由がよくわかるようになりました。
というのも、北欧では暗くて寒い冬の時期がとても長く、2カ月ほど太陽が昇らない地域もあるほど。また、夏は短く、一年を通して雨や曇りの日が多いことも知りました。
だからこそ、気持ちのいい天気の日に家にいるなんてもったいない。ここには切実さみたいなものを感じるのです。

デッキからは北アルプスが見える。

夫に誘われるがまま、晴れている日は外で過ごすようになり、いつの間にかこれが我が家の習慣になっていました。子どもたちもデッキで食事をしたり、庭遊びをしたりするのが好きなよう。こんなふうに、多くの時間を外で過ごしている我が家ですが、さすがに最近の日本の暑さには正直バテています……。

ジリジリ太陽の昼間は、じっと家の中にこもり、やらねばいけないことをこなします。めざすは日が陰ってくる、夕方の時間帯。涼しい風を感じたら、ぞろぞろとデッキスペースに出ていくのです。

最近は庭でよくボール遊びをしている。

ここで夕飯を食べる日もあれば、食後にお酒をチビチビ飲みながらゆっくりすることも。
葉っぱや枝が風でゆらゆら踊っているのを眺めたり、ヒュンと移り変わっていく空の様子を眺めたり。少しずつ暗くなっていき、冷たい風を感じるのも、また気持ちいいのです。

食べるのも、おしゃべりも、外だと気持ちいい。

食べるのも、おしゃべりも、外だと気持ちいい。

食べるのも、おしゃべりも、外だと気持ちいい。

食べるのも、おしゃべりも、外だと気持ちいい。

家にいるときは、ちょっとでもヒマになると「テレビが見たい〜」と言う子どもたち。でも、外にいるときはちょっと違います。虫を探したり、花を摘んだりしながら、自分たちで遊びを見つけているのです。
大人はというと、おしゃべりすることもあれば、ただただ空をボーッと眺めたり、ひとりで考えごとをしたりすることも。

同じ空間にいながら、それぞれが好きなことをする。これがとても心地いい。
外で過ごしている時間は、家族の時間でもあり、自分の時間とも言えるのかもしれません。

我が家の夏の楽しみは、涼しい風が吹く時間。北欧の人たちのように、気持ちのいい季節を全身で楽しみたいと思います。

蚊除けとしてシトロネラの入ったキャンドルや
ランタンを灯している。
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