エッセイスト桒原さやかさんが松本で感じる四季や自然とともに、家族でつくる日々をご紹介
夫婦の家事分担
うまくやるよりも大事なこと
October 08. 2024(Tue.)
岐阜県出身のライター・エッセイストの桒原(くわばら)さやかさん。「イケア・ジャパン」やWEBメディア&ショップを経営する「北欧、暮らしの道具店」に勤務した後、ノルウェーに移住し約1年半を過ごしました。
現在は、長野県松本市で、スウェーデン出身のご主人と2人のお子さまとともに暮らす桒原さんに、松本での暮らしや家族と過ごす日常について綴っていただきます。
暮らし始めて15年、
お互いに、変化しながら
のんびりした性格に見られることもあるのですが、私はどちらかというとせっかちなタイプ。物事を早く進めたい気持ちが前に出て、大雑把なところもけっこう多いのです。
むしろ、のんびりしているのは夫の方で、何事もていねいに取り組みたいタイプだったりします。
そんな二人なので、いっしょに暮らし始めたころは、ぶつかることもしょっちゅうでした。
掃除機をかけた後に、「あれ、ここ掃除した?」と夫に聞かれることもしばしば。「じゃあ、自分でやれば?」と、ふたりの間にトゲトゲした空気が流れることもよくありました。
このイヤな空気を払拭したくてはじめたのが、「気になる人が担当する」というシンプルな解決方法。これが我が家の家事分担のはじまりでした。
そこからは床掃除全般を夫が引き受けるようになり、私は洗濯や水回りの掃除を担当するように。
残りの家事はその日の様子で決めていましたが、家事にまつわる暗黙のルールがひとつだけありました。それは、「どちらかが家事をしていたら、自分も何か探して動くこと」。
今思えば、家事の時間を平等にすることで、小さな衝突を避けていたんだなと思います。
二人暮らしのゆるやかな家事分担も、子どもが生まれてからはずいぶん細分化されるようになりました。
たとえば、朝の時間。最近の我が家はこんな感じです。
朝食の準備ではフルーツをカットし、テーブルセッティングをするのは私の担当。その横で夫はトーストを焼いて、コーヒーを淹れる係です。
朝ごはんを食べた後は、夫が皿洗いをして、その間に子どもの歯磨きをしたり、身支度をしたりするのは私の担当。幼稚園への送り迎えは日替わりです。送っている間に、家にいる人が片付け・掃除をしておくのがお約束。子どもたちを送って帰ってくると、家がキレイに片付いていて、そこからパチンとスイッチを切り替えて、仕事をスタートするのです。
子どもとの毎日は予測できず、計画通りにいかないことだらけ。なんとか心地よく毎日を過ごしたくて、何度も夫と話し合って、ようやく決まってきたのがこの役割分担というわけです。
夫と暮らしはじめて15年。
いつの間にか少しずつお互いに歩み寄るようになり、私はていねいな家しごとを学び、夫はちょっと大雑把になったのも、なんだか面白い。以前とは変わったけれど、今でも家事分担の暗黙のルールはあります。それは「家事は二人のしごとだと、忘れないこと」。相手に余裕がない日は、自分の担当じゃなくても率先して動くようにしています。
「あれ、なんか忙しそうだな」とか「元気ないな」とか、相手を気にかける気持ちがあれば、たとえドタバタでも、うまく回っていなくても、大体のことはなんとかなることも、ようやくわかってきたところなのです。
さて、5年後はどんな家事分担になっているでしょうか。もしかして、子どもたちが担当してくれているものもあったりして?と、淡い期待をしてしまいます。