
エッセイスト桒原さやかさんが松本で感じる四季や自然とともに、家族でつくる日々をご紹介
「ママー!」の毎日は
小さな冒険だった
August 24. 2026(Mon.)
岐阜県出身のライター・エッセイストの桒原(くわばら)さやかさん。「イケア・ジャパン」やWEBメディア&ショップを経営する「北欧、暮らしの道具店」に勤務した後、ノルウェーに移住し約1年半を過ごしました。
現在は、長野県松本市で、スウェーデン出身のご主人と2人のお子さまとともに暮らす桒原さんに、松本での暮らしや家族と過ごす日常について綴っていただきます。


今年はもうぴったり。
子どもの成長と、
変わっていく私のこと
そういえば最近、「ママー!」と呼ばれる回数がちょっと減ったかもしれません。
娘が小学生になったころからでしょうか。ただいまー!と家に帰ってきたら、そのまま友達のところに出かけることが多くなりました。去年までは膝下まであったぶかぶかのワンピースも、今では娘の膝小僧がちらっと出るようになり、こんなに大きくなったんだなぁとびっくりします。


気づけばぐんぐん上の方に伸びています。
ちょっと前まで、両手は子どもの手と荷物でいっぱいで、一秒でも離れたら大変なことになるんじゃないかと、常に気を張っていたのになあ。
頭ではわかっているのに、私の中にはいまだに「3歳くらいの娘」がずっといて、目の前のギャップに戸惑う毎日です。
「子どもはいつまでも子ども」
そんな言葉を聞いたことがあります。ひょっとしたら、私の中の3歳の娘は、この先どれだけ大きくなっても居続けるのかもしれません。


子どもが生まれる前、「私たちは親になっても変わらないでいようね」と夫と話したことがありました。それは、自分たちよりも少し前に親になった友人が、すっかり変わってしまって寂しかったから。


でも、いざ蓋を開けてみると、外食の定番にファミレスがあたりまえのように加わり、カフェに行く代わりにコーヒー片手に公園のベンチで座るように。友達と会っても、話題はいつも子どものことばかり。
変わってしまったのは、むしろ私の方でした。今思えば、友人も毎日を過ごすだけで、ただただ必死だったんだろうなと思います。
先日、夫とこれからのことを話していました。
「子育てが少し落ち着いたら、いろんな国に1カ月とか2カ月とか滞在しながら暮らしてみたいんだよね」と夫。
その言葉を聞いた瞬間、心のどこかにポッと明かりが灯るような感覚がありました。
ふと思い出したのは、子どもが生まれる前の私たちのこと。アジアから、ときにはアラスカまで、夫とあちこち旅をしていたころのことです。
行き先を決めすぎず、気になる路地を曲がってみる。
そんな旅を、私たちは「小さな冒険」と呼んでいました。


ノルウェーの写真。
子どもと暮らす毎日は、小さな驚きや発見にあふれています。
「どうして空は青いの?」「なんで大人はお昼寝しないの?」そんな予想もしなかった質問に立ち止まるたび、見慣れた毎日が少し違って見えてくるのです。あてもなく路地を曲がっていた旅と、案外似ている気がします。


今の私にとっての冒険は、「ママー!」と呼ばれるこの毎日そのものなのかもしれません。
そして娘が大きくなったその先にも、きっとまた違う冒険が待っている。そんな気がするのです。


まだまだ甘えん坊。









