【番外編】
「ビーフライ」の躍進や、
新商品の登場も!
アピ株式会社(岐阜県岐阜市)
(2/2)
June 30. 2023(Fri.)
「交流Style」の前身「交流」で、過去にご紹介した企業の今を探ります。
2018年と2020年の2回ご登場いただいた、岐阜県岐阜市に本社を置くアピ株式会社。蜂産品を含む健康補助食品や医薬品の製造をおこなっている企業で、2018年当時は養蜂部ミツバチ課(現在は、蜂産品特販部ミツバチ課)の仕事を見学するため、各務原市にある川島養蜂場に伺いました。
今回は、「ビーフライ」事業の近況や新たな出来事、ニュースを伺いました。
ー前回の記事はこちら
【番外編】養蜂から健康食品・医薬品まで アピ株式会社(岐阜県岐阜市)(1/2)
過去の紹介記事はこちら
【「交流」no.110 P10〜12】
【「交流」no.118 P8】
認知度が高まる「ビーフライ」
さらなる利用促進に向け
取り組み中
授粉用のミツバチの販売をおこなっているアピ株式会社。前回記事でもご紹介したように、授粉用のハエ「ビーフライ(ヒロズキンバエ)」も取り扱っています。
同社のミツバチとの関わりは100年以上ですが、「ビーフライ」の取り扱いは、まだ開始して6年目。寒さに強く、雨天・曇天や冬の低温から夏の高温環境でも活動し、刺される心配もないので扱いやすいのが特長です。
ヒロズキンバエの安定生産は
医療界への貢献にもつながる
ヒロズキンバエは、もともと医療分野で「マゴットセラピー(*)」という治療法に医療で利用されているハエであり、非常にクリーンな環境で生産されています。そのため、不快なにおいや病気の媒介といった心配はないそう。
農業用として普及すれば「マゴットセラピー」用のヒロズキンバエの安定供給にもつながります。
近年は、衛生的なハエであるというイメージも定着し、広く浸透してきているヒロズキンバエ。とはいえ、まだまだミツバチに比べると農業での利用数はわずか。今後はさらなる利用促進、地位向上に尽力していくそうです。
*マゴットセラピー:医療用の無菌性ウジ虫(マゴット)によって壊死・腐敗した組織を除去する治療法。
新型コロナウイルスの
国産ワクチン製造に挑戦
コロナ禍で、同社にどのような影響や変化があったのかもお聞きしました。
食品関連の消費が大きく落ち込むなか、健康志向の高まりなどから、健康補助食品の需要は堅調だったといいます。
一方、養蜂関連や健康補助食品に加え、1996年から開始した医薬品事業も基幹事業として培ってきた同社。実はこの間に、大手製薬会社との協業で新型コロナウイルスの国産ワクチンの製造に挑みました。インフルエンザワクチンの製剤にも取り組んできた経験とノウハウを活かすことができるアピだからこそのチャレンジ。多くの人が危機感を抱く感染症の流行に対し、使命感を持って取り組みました。
経験と技術を注ぎ込み
未来の「健康」をつくる
「コロナ禍を経て、ますます『健康』に貢献できる企業へ、という自社の役割を認識しました」と蜂産品特販部の今井弘一さん。
近年では、独自の加水分解技術を利用した「PBF(プラントベースフード)」の開発・製造でも実績を重ねており、グラノーラなどにも使われるオーツ麦の粉末原料「EX-OAT」と、その原料を使ったオーツミルク「OAT糖化液」の生産をおこなっています。
アピの添加物・化合物を一切使用せず、加水分解(※)する独自の技術は、SDGsの観点からも注目されています。
※水溶液中の溶質が水分子と反応して起こす分解反応のこと
食・健康の分野で、時代のニーズとまさにマッチするサービスを届けているアピ株式会社。100年企業であると同時に、「『未来の健康を創造する企業』を目指し社会貢献していきたい」という今井さんの言葉通り、これからの100年にもきっと力を尽くされるはずです。
- アピ株式会社
- 1907年、明治時代に創業。養蜂器具の製造・販売から始まり、現在も各種養蜂器具を取り扱うほか、受粉用ミツバチの卸業、健康補助食品の受託製造、オリジナル商品の製造、医薬品の開発や製造をおこなっている。本社は岐阜県岐阜市。
岐阜県岐阜市加納桜田町1-1
058-271-3838