高島屋の和菓子バイヤーが中部地域注目の和菓子をご紹介
3代に渡り、地域に根ざして
和菓子を作り続ける
亀甲屋本舗・岐阜県岐阜市
July 24. 2023(Mon.)
お客さまの喜ぶ顔を見たくて
和菓子作りに尽力する若主人
亀甲屋はもともと着物の洗い張り業として商いを始め、その創業者から数えると現在の若主人が8代目。6代目が岐阜県大垣市の和菓子屋に修行に出て、戦後まもない1947年に、和菓子屋の暖簾を掲げました。若主人 寺澤隆浩さんは和菓子屋としては3代目に当たります。
「大学時代から、家業を継ぐことは決めていました。卒業した後は、神奈川県茅ヶ崎市にある和菓子屋に修行に出て、岐阜には26歳の時に帰ってきました」と寺澤さん。亀甲屋の和菓子は、団体旅行が中心の観光客を対象にした土産品や冠婚葬祭の引き出物としての注文が多かったのだそうです。
やがて時代は、より個色が強くなっていき、旅は団体旅行から個人旅行へと変遷していきます。すると来店されるお客さまの層にも少し変化が現れたのだそう。個人のお客さまが、自家用の和菓子を求めて来店する頻度が高くなっていきます。商品力がより高く求められる時代になっていったのです。
「お客さまが店頭でお好きな和菓子を選んで買って、美味しかった!と言ってもらうことの喜びを忘れたくないと思っています。それが和菓子屋としての原点なので」と、寺澤さんは和菓子作りにこめる思いを語ってくれました。
日本を代表する清流・長良川を有する町で、和菓子を作るということの意味を、常に考える日々が続きます。
【店舗おすすめ】「ちょうちんもなか」
岐阜県南部で作られている和紙は薄くて丈夫であると有名で、昔から上質な和紙としてさまざまな文献で紹介され、使われ続けています。江戸時代には、長良川を利用した水運で和紙や竹、木材などが運搬されていました。それらを材料に、岐阜提灯、岐阜和傘、岐阜うちわなどが作られ、現代に至っても岐阜を代表する工芸品となっています。中でも岐阜提灯は、鵜飼シーズンになれば長良川近辺の家々の軒先に飾られる風景を目にすることから、認知度は高いのではないでしょうか。
亀甲屋の「ちょうちんもなか」は、その岐阜提灯をかたどった最中皮に、自家製つぶあんをたっぷりと詰めたもの。提灯の形をしているためボリュームがあり、つぶあん派の和菓子好きにおすすめしたい逸品です。
店舗情報
- 亀甲屋本舗
- 岐阜駅から柳ヶ瀬を通って長良川方面へと北に伸びる“長良橋通り”沿いにある亀甲屋。長良川にもほど近く、鵜飼乗船場や格子戸の古い家が建ち並ぶ川原町も徒歩圏内で、観光ルートの寄り道スポットになっている。鮎菓子や最中などの代表銘菓をはじめ、岐阜の土産菓子から普段使いのお菓子まで幅広い商品を揃えた地域に愛される和菓子店。