気ままにカフェめぐり

年間300件以上のお店をめぐる編集者・かにぃさんが中部地域のカフェをご紹介

嬉しい時も悲しい時も
心に寄り添うスペシャルな一杯に出会う
sora(長野県飯田市)

July 23. 2026(Thu.)

豆に合わせた焙煎で
芳香と甘味を引き出す

JR伊那八幡駅から西へ少し、趣のある商店街の一角に、レンガ造りの壁がレトロな雰囲気のカフェがある。扉を開けると、鼻をくすぐる豆の香り。テイクアウトが中心だが、窓際のカウンターや、昔懐かしい勉強机をテーブル代わりにした席が設えられており、ここでのんびりとコーヒーやスイーツを楽しむ人の姿も見られる。

“嬉しい時も悲しい時も、頭の上にある空のようにあなたに寄り添うカップを届ける。”が店のコンセプト。
「店側が飲んでほしい一杯を押し付けるのではなく、その時のお客様の気持ちに合わせたコーヒーを淹れたい」と店主は話す。「かつて心を壊した時、世界がモノクロに見えましたが、コーヒーを飲んでいる時は世界に色彩が戻った。そんな僕自身の経験から、誰かに寄り添えるこの仕事をしたいと思いました」。当時働いていた東京から戻り、県内のさまざまなカフェを訪れ、腕を研鑽。イベント出店で経験を積み、2025年にスペシャルティコーヒーのカフェをオープンした。
「コーヒーはただ苦いだけの飲み物ではなく、フルーティーで甘く、豊かな酸味も感じられるものであることを、多くの人に知ってもらいたいと思います」。スペシャルティコーヒーを飲める店は長野県では珍しく、県内はもちろん県外からも足を伸ばす人もいるという。

スペシャルティコーヒーは常時7種類。店の奥に置かれた焙煎機で、豆の種類に合わせて方法を変えながら丁寧に焙煎する。この日オーダーしたのは、フルーツ由来の甘い香りが特徴的なコロンビアエルパライソライチ。「香りを引き立て、飲んだ後に喉の奥でざらつく感じをなくすために焙煎を調整します」と話す店主の言葉どおり滑らかな飲み口で、フルーティーな香りと甘味が舌の奥まで広がる極上の一杯だ。

こうしたスペシャルティコーヒーとともに楽しみたい自家製ドーナツはレモンケーキ風を注文。焼きドーナツならではの“サクッフワッモチッ”の食感を追求した一品で、甘酸っぱいレモンの味わいとシャリっとしたアイシングも味と食感にアクセントをつける。

これらのほかに、なんとも心惹かれるネーミングに誘われて、「放雨犯(ほううはん)のクリームソーダ」も頼んでみた。深い青紫から透明感のある青へのグラデーションが美しく、「梅雨の曇り空の上に広がる青空を表現しました」と店主の言葉に思わずうなずく。爽やかなソーダがまろやかなクリームと溶け合い、どこかノスタルジックな味わいだ。

2025年にオープンしたばかり。
すでに地元の人々の憩いの場に。
奥にはカフェスペース。
レトロとモダンが共存する雰囲気の良い店内。
コーヒーは豆の種類に合わせて方法を変えながら
丁寧に焙煎。提供するカップもコーヒーごとに
最適なものを選ぶ。
シーズンごとにテーマが変わるクリームソーダ。
写真は取材時(5月)の「放雨犯のクリーム
ソーダ」。小説のタイトルのようなネーミング
を意識しているそう。
食感を追求した焼きドーナツ。アイスを雲に
見立てたあったかドーナツアイスのせも絶品。

店舗情報

sora
自家焙煎のスペシャルティコーヒーや焼きドーナツが楽しめるレトロな雰囲気の小さなカフェ。コーヒー豆の販売やテイクアウト販売も有り。店主夫婦の優しさが行き届いた、地元の人々からも慕われる店。

Instagram
https://www.instagram.com/_s__o__r__a_/

MAP

〒395-0814長野県飯田市八幡町2151-11
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