カフェで見る景色(アーカイブ)

スパイシーなのに辛くない
カレーに込められた優しさ
発酵とスパイス(長野県松本市)

July 28. 2023(Fri.)

アンティークな世界で
発酵×スパイス料理を楽しむ

なんともストレートな店名に心を掴まれ、訪問前から好きになる予感がした。発酵食品もスパイス料理も長年の好物なので、どんな味を楽しめるんだろう……と期待に胸を膨らませながら、列車に揺られて松本駅へ。

城下町の情緒に浸りつつ15分ほど歩くと、角地の建物に「発酵とスパイス」という縦書きの文字を発見。扉を開けた先には、アンティークの家具やウィリアム・モリスの壁紙などで彩られた空間が広がり、スパイスのいい香りが漂ってきた。ケーキ型や漏斗を利用した照明、ペンキの剥げた窓枠など、趣のある古道具を眺めて待つ時間も心地よくて、いつの間にかリラックスモードに。

ランチはスパイスカレーのみ3種類。手作りの麹甘酒や塩麹を使った「麹甘酒バターチキン」、スパイスと醤油を合わせて和風に仕上げた「グルテンフリー醤油キーマ」、パクチーとミントも香る北インド料理のアレンジ「酒粕と白味噌のベジグリーンコルマ」。すべてに惹かれて3種盛りを注文し、トッピングに「スパイスオイルがけ卵」も選んだ。ほどなく運ばれてきたのは、独創的かつ美しい一皿! カレーとご飯の上にさまざまな副菜やソースが盛られ、初めてのおいしさの連続に唸ってしまった。少しずつ混ぜて“味変”させるのも楽しくて美味。

「ブラックペッパークランブルのせ味噌チーズケーキ」と「薬膳発酵コーラ」も好みで、発酵とスパイスの新たな魅力に触れられて大満足。店主夫妻に話を伺ったところ、奥さんが妊娠による体調不良に悩まされた際、食生活の改善を試みて発酵食品を摂り始めたのが発端だとか。その効能を実感してみるみるはまり、以前から好きで作っていたスパイスカレーと組み合わせて広めたいと思うようになったそう。まずはキッチンカーで活動を開始し、2022年末にこの実店舗のオープンに至った。

実はここのスパイスカレーは辛みがゼロで、添えられた自家製ガラムマサラを加えるスタイル。そうしたのは、幼い子どもに取り分けた後でも、好みの辛さで堪能してもらいたいという親目線の想いから。また、普段はカレー屋さんにひとりで入りずらい女性にも、ゆったりと過ごしてもらえる空間をイメージしたという。やみつきになる風味はもちろん、店主夫妻の優しい気持ちがあふれているから、また訪ねたくなるのかも。次は我が子たちともおいしさを分かち合いたいし、人気の「黒みりんと醤油のカラメルプリン」とチャイも味わってみたい。

19世紀のイギリス人芸術家、ウィリアム・モリス
によるデザインの壁紙は、奥さんのお気に入り。
自家製味噌を使ったチーズケーキ。胡椒も効いて、
“甘じょっぱい“おやつ好きにはたまらない。
雑貨の販売スペースも拡充させたいと話す夫妻。
フランスへ買い付けに行く予定もあるそう。
什器はフランスのもので、富山にあるアンティーク
ショップ「Leyenda(レエンダ)」がセレクト。

店舗情報

発酵とスパイス
料理教室やキッチンカーでの活動でファンを増やし、
「発酵×創作スパイスカリーと喫茶室、暮らしの雑貨」をテーマに
念願の実店舗をオープン。地元産の食材にもこだわっている。

MAP

〒390-0807長野県松本市城東1-3-1
電話番号:050-6876-0014
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