知っているようで知らなかった悩みに、専門家がお答えします
健康と美を育てるトレーニングの基本
〜カラダづくりは「お尻」から!〜(1時間目)
September 04. 2023(Mon.)
体型の崩れや日常的な不調、体力低下など年齢を重ねるごとにあらわれる身体の変化。健康でいるためにも「何かしなくては」と思う一方で、「何から始めたら良いのかわからない」「キツい運動は無理」と二の足を踏む人も少なくないのでは? そこで、カラダづくりの基本を学ぶため「SPICE UP FITNESS」代表を務める岡部 友さんにインタビュー。岡部さんいわく「お尻本来の機能を取り戻すことが、健康維持、ボディラインづくりに欠かせない」のだとか。お尻の機能について詳しく解説してもらった。
- SPICE UP FITNESS 代表
- 岡部 友
- 高校卒業後、アメリカで運動生理学、解剖学を学び、フロリダ大学在学中にNSCA-CSCSを取得。帰国後は女性専門のパーソナルトレーナーとして活躍する。2016年「SPICE UP FITNESS」を創設し、2023年現在、東京・名古屋・大阪で5店舗を運営する。両親の地元が名古屋で、自身にも馴染み深いことから全国展開の第1弾として名古屋店を立ち上げたという。自ら考案した尻トレメソッド「Glutes in Action」で日本女性の心と身体を変えていくことを使命に掲げる。 NSCA-CSCS公認コンディショニングスペシャリスト、ACSM-CRT公認パーソナルトレーナー、分子栄養医学健康指導士。
- https://tomofitness.jp/
現代人は、お尻の筋肉が
まったく使えていない!?
美しいボディライン、美尻を目指したい!と考えている方にとって、どんなトレーニングをしたら良いのか、気になるところかと思います。
でもその前に、そもそもお尻は身体の中でどんな役割を果たしているのかを学びましょう。
お尻には、人体で一番大きな筋肉・大臀筋(だいでんきん)があります。お尻の筋肉は、二足歩行に欠かせないもの。お尻の筋肉の発達によって、私たち人類は二足歩行ができるようになったのです。
ただ、進化によって人類は、より楽な生活も追い求めました。その結果、座る時間が増加。身体機能的に最も鍛えなければいけないにもかかわらず、お尻の筋肉は使われる機会が減ってしまいました。
現代人は、お尻の筋肉を十分に使えていません! そのために、全身の筋肉のバランスが乱れてしまっている人が多いです。
例えば歩く際、お尻の筋肉が使えていないと、本来ならあまり使わなくても良い、腰や脚の筋肉を総動員することになります。すると、歩くごとに腰や脚の筋肉に負担がかかり、腰が痛くなったり前ももが張ったりすることにつながります。また、筋肉は骨にくっついているので、筋肉バランスの乱れから骨に影響があり、骨盤が前傾・後傾したり左右のバランスが崩れたり、猫背や出っ尻、反り腰につながり、痛みが出やすくなるので、普通の姿勢もとりにくくなります。
さらには、内臓や呼吸、自律神経に悪影響が及ぶことも。こうした負のスパイラルに陥りやすくなっている現代人にとって、お尻の筋肉の本来の機能をしっかり使ってあげることは、生涯歩き続けるため、そして健康を保つ上でもとても重要なことなのです。
トレーニングは「歯磨き」と一緒!
毎日の習慣にすることを目標にしよう
筋肉や骨のバランスは徐々に変化していくので、自分ではなかなか気づくことができません。トラブルを招くような大きな乱れを防ぐためにも、まずは自宅でできるトレーニングなどを実践して、日頃から筋肉をきちんと使ってあげることを意識しましょう。
ここでいう「トレーニング」とは、人間の筋肉に備わっている本来の機能を通常に保つために最低限おこなうこと。言うなれば歯磨きと一緒なんです。面倒だと思っても、皆さん歯磨きは毎日しますよね。歯磨きと同じようにトレーニングを毎日の習慣にすれば、自然と痛みなどの不調を感じにくくなりますし、ボディラインも美しい状態に近づいていきます。
トレーニングの効果をより実感するためには、正しいフォームなど基礎を学ぶのも大切です。私が代表を務めるジムでは、利用者さんの身体の状態を踏まえてトレーニング内容を組み立て、トレーナーの指導のもと実践してもらいます。基礎が十分に身についたらジムを卒業してもらってOK!大事なのは、「習慣にする」ことですから。
あなたの体型はどのタイプ?
トレーニングを始める前に、自分に目を向けて
最後に、女性の方はトレーニングに取り組む前に、自分の体型にも目を向けてみましょう。
体型は骨盤の大きさと脂肪の付き方によって大きく4種類に分類できます。お尻の形もそれぞれ個性が異なります。
①ストレートタイプ
肩・ウエスト・骨盤のラインが同じ体型。細身の印象ですが、女性らしさは感じられにくい体型です。
②台形タイプ
肩幅があってウエストにあまり脂肪がつきにくく、大腿骨上部の外側の大転子(だいてんし)が突き出た体型。メリハリがあって、痩せるとキレイなボディラインになります。
③洋ナシタイプ
日本人に多い、骨盤が広く上半身は細いタイプ。ダイエットすると上半身から痩せてしまうため、上半身と下半身の差がつきやすいです。
④逆三角形タイプ
脚が細く骨盤の主張があまりない体型。胸やウエストに脂肪がつきやすく、上半身にボリュームがあるため見た目に太って見えやすいですが、胸の谷間を見せると細く見えやすいといった特徴があります。
体型の個性をつかんでおけば、トレーニングの効果も実感しやすくなります。
ご自身の体型はどれに当てはまりますか? 姿見などを使って観察してみましょう。