おとなの相談室

知っているようで知らなかった悩みに、専門家がお答えします

背中のインナーマッスルトレーニングで腰痛改善
〜カラダづくりは「お尻」から!〜(3時間目)

September 19. 2023(Tue.)

運動不足の現代人は、慢性的な首や肩、背中、腰の痛みの悩みを抱えている人が多い。痛みの軽減や予防に役立つトレーニングとはどんなものなのか。健康な体づくりに欠かせない、食事面のアドバイスも含めて「SPICE UP FITNESS」代表を務める岡部友さんにレクチャーしてもらった。

ー1時間目の記事はこちら
健康と美を育てるトレーニングの基本〜カラダづくりは「お尻」から!〜(1時間目)
ー2時間目の記事はこちら
身体機能に影響がある骨盤底筋にアプローチ〜カラダづくりは「お尻」から!〜(2時間目)

SPICE UP FITNESS 代表
岡部 友
高校卒業後、アメリカで運動生理学、解剖学を学び、フロリダ大学在学中にNSCA-CSCSを取得。帰国後は女性専門のパーソナルトレーナーとして活躍する。2016年「SPICE UP FITNESS」を創設し、2023年現在、東京・名古屋・大阪で5店舗を運営する。両親の地元が名古屋で、自身にも馴染み深いことから全国展開の第1弾として名古屋店を立ち上げたという。自ら考案した尻トレメソッド「Glutes in Action」で日本女性の心と身体を変えていくことを使命に掲げる。 NSCA-CSCS公認コンディショニングスペシャリスト、ACSM-CRT公認パーソナルトレーナー、分子栄養医学健康指導士。
https://tomofitness.jp/

3時間目
痛みに悩まないカラダを
手に入れるために
必要なトレーニングとは?

デスクワーク中心の人ほど、
意識してトレーニングを実践して!

座る生活がベースとなっている現代人にとって、腰痛に悩む人は多いと思います。でも「座っているから腰痛になる」のではなく、使うべき筋肉をきちんと使っていないことが原因なのです。

例えば、背中のインナーマッスルである多裂筋(たれつきん)は、うまく使えていないとアウターマッスルの脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)が過緊張になってしまい、バランスの乱れから腰の痛みを招いてしまいます。また、多裂筋が使えていないと正しい姿勢を保ちにくくなるので、デスクワークがどんどんつらくなってしまいます。裏を返すと、多裂筋をしっかり使えるようになっておく習慣を身につければ正しい姿勢を保ちやすくなって、腰痛の軽減や予防につながり、毎日のデスクワークも快適になります。

腰が痛いといった不調は、現れるまでに10年かかるといわれています。トレーニングを習慣にして、不調につながるような“負債”を減らしていきましょう。

体幹を意識して、
背中からお尻の
インナーマッスルを鍛える

まずは基本のストレッチ(A)から。
床と直角となるように左膝を立てて右膝を床につきます。骨盤を後ろに倒し、お尻の付け根を前に押し出すようにしたらそのままキープ。30秒間で6回呼吸を繰り返し、鼠径部(そけいぶ)の筋肉を伸ばします。反対側も同様に。

続いてトレーニング(B)。お尻の筋肉と多裂筋にアプローチします。
①四つん這いになって肩の真下に手、腰の真下に膝が位置するように調整します。腰は反り過ぎたり丸まり過ぎたりしないように意識し、肩甲骨を寄せるイメージで姿勢を保ちます。
②右腹筋に力を入れて右脚を引き上げて後方に伸ばします。このとき、床についている両手や左膝に体重がかからないように注意し、体幹に意識を向けましょう。
③脚を伸ばしきったら膝をお腹に引き寄せ、また伸ばします。
この動きを20回繰り返し、左脚も同様のトレーニングを行います。


トレーニングB

ちょっとした時間にも身体にアプローチ!
食生活も見直し内側からキレイに

紹介したストレッチ・トレーニングのほか、例えばボールを使った筋膜リリースも、痛みの改善に効果があります。筋膜とは筋肉を包む薄い膜。長時間同じ姿勢でいると硬くなり痛みを感じやすくなるので、こまめにほぐしてあげましょう。
お尻周りの筋膜をリリースする場合は、床に座った状態でお尻の外側付け根にボールを当て、体重をかけながらボールの上を前後にスライドし、中殿筋周辺をほぐします。
専用のマッサージボールもありますが、手軽に始めるならテニスボールやゴルフボールでも代用可能です。「ボールに体重をかけると痛みが強くてつらい」といった場合には、タオルを巻くと刺激が和らぎますよ。

そして、運動習慣と併せて意識してもらいたいのが食事内容です。例えばタンパク質。1日のタンパク質摂取量は体重×1.5(g)で計算でき、例えば体重50kgの人ならタンパク質75gが目安となります。ただ、1回の食事で摂れるタンパク質量は20g程度、肉や魚に換算すると100〜120gです。1回の食事で過剰にタンパク質を摂取しようとすると活性酸素が増えて身体にも負担になります。こまめに分けて摂取するのを心がけてください。

私たちの体は食べたものでつくられています。人工的な添加物の影響も考えて、サラダチキンも自分で作ってみましょう。最近では無添加で良質なプロテインも増えていますので、上手に活用するのもおすすめです。
質にこだわり、身体に優しい食材を取り入れて、内側から健康な体をつくっていきましょう。

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