おとなの相談室

知っているようで知らなかった悩みに、専門家がお答えします

ウイスキーに合う
意外な”甘味”
驚きのペアリング!
あのお酒にこのメニュー
(1時間目)

March 13. 2023(Mon.)

おいしいお酒をもっとおいしく楽しむために、お酒に合った食事や食材を選びたい。なおかつ自宅で嗜めるともっと良い! そんな望みを叶えてくれる素敵なマリアージュの情報を3回にわたってお届け。
今回は、和菓子職人であり、ウイスキーにも精通する名古屋市の「御菓子処せんのんじ」の店主伊藤正義さんに、ウイスキーとあんこのマッチングを提案してもらった。

撮影協力/Bar Chœur(愛知県名古屋市)
https://www.choeur.jp/

御菓子処せんのんじ
伊藤 正義
御菓子処せんのんじ店主で和菓子職人。ウイスキーの好事家としても知られ、イベントにも出店している。
https://www.facebook.com/wagashisennonji

1時間目
ウイスキーには、
絶対あんこ主義!

穀物由来同士だから、
合うんです

和菓子職人を生業にウイスキーを趣味にしているからか、自ずとあんことウイスキーの相性の良さに気づきました。ウイスキーイベントでは、カステラの生地やあんこにウイスキーを練り込んだ「ウイスキーどら焼き」なるものも販売し、好評でした。
ウイスキーは、大麦と水で作られた無色透明のスピリッツ(蒸留酒)を木の樽に寝かせて作られます。あんこも穀物を中心に煮詰められたもので、塩や砂糖で味がつけられます。原料は小豆などの豆類を中心にサツマイモや栗、カボチャなどさまざま。穀物由来のウイスキーの甘味と同じく穀物由来の甘味を持つあんこの接点を見つけ出すのがウイスキーとあんこのマリアージュの醍醐味かもしれません。

今回は、インターネットやお酒の量販店などで比較的安価で購入できるスタンダードなウイスキーを前提に、あんことのマリアージュを考えました。
飲み方は、香りや味を感じやすくするため、ストレートか同量のお水で割るトワイスアップが適しています。和菓子を口に入れて少し咀嚼してから、ウイスキーを少しだけ飲むのがオススメです。
和菓子をウイスキーのお供にゆっくりとおとなの時間をお楽しみください。

草餅と
グレンフィディック12年
−よもぎの草っぽさが
このウイスキーに合う−

甘くフルーティーな味わいで、洋梨やレモンを感じさせる爽やかな香りが特徴のグレンフィディック。
香りの中に少し干草のようなニュアンスもあり、そのニュアンスが草餅のよもぎと、つぶあんの皮が持つ個性にマッチします。

グレンフィディック12年  700ml
https://www.glenfiddich.com/jp/collection/core-range/12-year-old/


黄身あんの濃厚さとマッチする
グレンファークラス12年
−濃厚なあんこの
風味と調和する−

白あんに卵の黄身を加え炊き上げたものが黄身あんです。あんに黄身が入ることで、少し濃厚な味わいになります。
この香り豊かなあんこには、シェリー樽で熟成された、これまたコクと香りの強いグレンファークラスを合わせてみたいですね。シェリー樽が醸し出す干し葡萄や煮詰めたザラメのニュアンスが黄身あんのコクと合うのです。


グレンファークラス12年 700ml
https://milliontd.biz/product.php?id=116

羊羹には銘酒バランタイン17年
−余韻×余韻=
より豊穣な味わいに−

糖分量が多く、口の中で風味を感じられる時間の長い羊羹には、ブレンデッドウイスキーの銘酒「バランタイン」の17年がよく合います。
スコットランド各地の40種以上の原酒をブレンドした、さまざまな香りが重なり合う奥行きの深いこのウイスキーが羊羹の持つ長い余韻と味わいを粒立ててくれます。
ブレンデッドの持つ複雑味と羊羹が口の中で一体化することにより、とてもおいしく感じられるはず。

バランタイン17年 750ml
https://www.ballantines.ne.jp/products/17years.html

栗きんとんとラフロイグ10年
−濃厚×濃厚のマリアージュ−

スコットランドのアイラ島の銘酒・ラフロイグ。ヨード香の中にグレープフルーツや干し草、ハーブのようなニュアンスのあるクセのあるウイスキーの代表格です。
この強烈な個性に合わせるのは栗きんとん。豆とは違う甘味や渋皮の苦味がバッティングせずに重なり合います。
栗きんとんのシーズンである秋まで待つか、同じようなペアリングを楽しめる芋羊羹と合わせてもいいかもしれません。


ラフロイグ10年 700ml
https://www.suntory.co.jp/whisky/smokymalts/laphroaig/

和菓子は、日本人に馴染みのあるもの。バーではなかなか叶わないこのマリアージュは、ぜひ家で試してみてください。さまざまな和菓子を買って、これは合うけどこれはちょっと違うと、ご自身で試してみるのも楽しいはず。
また、ウイスキーには、桃やオレンジなどのフルーツ香や干し葡萄のような熟成香、チョコやナッツなど多種多様な香りや味わいがあります。賞味期限がないので、高温多湿な場所を避ければ長い間楽しめるのがウイスキーの魅力の一つ。好きな香りを見つけて、和菓子に関わらずグッドなマリアージュを見つけると、ゆったりと自分の時間を楽しめるかも。
ちなみに、味わいの好みには個人差があります。それぞれ自分に合うものを見つけることも楽しんでくださいね。

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