おとなの相談室

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身体機能に影響がある骨盤底筋にアプローチ
〜カラダづくりは「お尻」から!〜(2時間目)

September 11. 2023(Mon.)

尿漏れや頻尿は、男女ともに加齢とともに起きやすいトラブルの一つ。トラブルの背景にあると考えられるのが、骨盤底筋の働きの低下だ。骨盤底筋とはどんな筋肉なのか? 鍛えるにはどうすれば良いのか? お尻の筋肉と関係する骨盤底筋に関する素朴なギモンと、トレーニング内容を「SPICE UP FITNESS」代表の岡部 友さんに解説してもらった。

ー1時間目の記事はこちら
健康と美を育てるトレーニングの基本〜カラダづくりは「お尻」から!〜(1時間目)

SPICE UP FITNESS 代表
岡部 友
高校卒業後、アメリカで運動生理学、解剖学を学び、フロリダ大学在学中にNSCA-CSCSを取得。帰国後は女性専門のパーソナルトレーナーとして活躍する。2016年「SPICE UP FITNESS」を創設し、2023年現在、東京・名古屋・大阪で5店舗を運営する。両親の地元が名古屋で、自身にも馴染み深いことから全国展開の第1弾として名古屋店を立ち上げたという。自ら考案した尻トレメソッド「Glutes in Action」で日本女性の心と身体を変えていくことを使命に掲げる。 NSCA-CSCS公認コンディショニングスペシャリスト、ACSM-CRT公認パーソナルトレーナー、分子栄養医学健康指導士。
https://tomofitness.jp/

2時間目
お尻の筋肉とも関係する
インナーマッスル
「骨盤底筋」とは?

全身の不調の改善にも役立つ
骨盤底筋にアプローチするメリット

お尻は大小さまざまな筋肉で構成されていますが、その周辺の筋肉とも密接に関わっています。その一つが、インナーマッスルの一つである「骨盤底筋」です。

骨盤底筋は、お尻の筋肉の近くにある筋肉で、骨盤内の底をハンモックのように支えています。座った生活を送っていると機能が弱まって膀胱など骨盤内の内臓が下がりやすくなり、尿漏れや頻尿の原因となることがあります。女性の場合、膣から子宮が出てくる「子宮脱」が起きることも。男性の場合、骨盤底筋やお尻の筋肉の機能低下が早漏やEDなどの原因の一つに数えられ、トレーニングによって症状が改善するとの研究報告もあります。

また、横隔膜と骨盤底筋は連動して動きますので、呼吸が浅くなり横隔膜があまり動かないと、骨盤底筋に影響が出ることがあります。すると呼吸が浅くなり、内臓の動きも悪くなるので、深い睡眠ができない、お腹の調子が悪いといった不調の原因にもなりえます。

お尻のトレーニングの中には骨盤底筋に効くものもあります。上手に取り入れて、ヒップアップはもちろん、骨盤底筋や連動する横隔膜にアプローチし、さまざまなお悩みを軽くしていきましょう。

トレーニング前の準備が肝心!
ストレッチで筋肉をほぐしてゆるめる

効果的に筋肉にアプローチするために欠かせないのがストレッチです。オーバーワーク状態の筋肉をほぐしてゆるめてあげると、トレーニングがより効きやすくなります。

お尻周りの筋肉や骨盤底筋を例に解説してみましょう。例えば、骨盤底筋の後ろ側に位置する内閉鎖筋(ないへいさきん)、肛門挙筋(こうもんきょきん)、大臀筋(だいでんきん)が硬いと、腹圧がかかった際に骨盤底筋に負荷がかかりやすいです。お尻から骨盤底筋にかけて圧を均等に分散できるよう、まずはストレッチでしっかりほぐしていきます。

骨盤底筋に関連する筋肉をゆるめる、基本のストレッチは3種類。ストレッチ中は深い呼吸を意識して、呼吸を6回繰り返し30秒かけて各部位をほぐしていきます。

A)両膝を大きく開いた状態で、肘を立てて四つん這いになります。片足ずつ上げ下げします。
B)床に座り、左膝に右かかとを乗せて体重をかけます。このとき、太もも内側の付け根部分が伸びるのを意識して。反対側も同様に。
C)うつ伏せの状態で肘を立て、右脚を折り曲げて左脚を後ろに伸ばします。上半身を倒して体重をかけ、お尻の筋肉を伸ばします。反対側も同様に。


ストレッチA

インナーマッスルにアプローチ!

しっかり筋肉をほぐしたら、いよいよトレーニングです。骨盤底筋を鍛えるのにおすすめのトレーニングの一つが「グルーツブリッジ」。お尻の筋肉を鍛えるトレーニングですが、ストレッチを十分におこなっておくことで骨盤底筋にも効果的に働きかけることができます。

その手順を紹介します。
①あお向けになって両足を肩幅程度に開き、両膝を立てます。
②息を吐きながらお尻を引き上げます。このとき、肩から膝までが一直線になるように意識して、腰が反らないように注意しましょう。
③息を吸いながらお尻を下ろし床についたら、また上げます。上げ下げを1セットとし、20回繰り返します。

膣や尿道口を締めるのを意識してトレーニングをおこなうと、尿漏れ予防・改善にも効果的です。

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