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スパイスの基礎知識
~ゼロから始めるスパイス入門~(1時間目)

June 13. 2024(Thu.)

スパイスカレーの流行で身近になったスパイス。家庭料理にも簡単に取り入れることができることをご存知でしたか?今回、初心者でもすぐ始められるスパイス生活を指南してくださったのは名古屋市にあるスパイス専門店「Osu Asian Spice Dream Land」の笹本かおりさん。1時間目の今回は、スパイスの魅力や基礎知識について教えてもらいました。

Osu Asian Spice Dream Land 店主 
笹本かおり
2023年11月に、幼少期から馴染みのあった大須にスパイス専門店をオープン。店内には500種類以上のスパイスがずらりとならび、1gから購入できる。初心者がスパイスを選ぶ際には相談に乗ることも多い。好みを伝えると、オリジナルのスパイスを調合してくれるサービスも好評。

1時間目

スパイス料理の
魅力ってなに?

スパイスってどんなもの?
辛いものばかり?

スパイスとはラテン語の“Spices”を語源とし、食品の調理のために用いる芳香性と刺激性を持った植物で作った香辛料のことを指します。茎、葉、花を利用するものを“ハーブ”、それ以外を利用するものを“スパイス”と分類しますが、スパイスとハーブを合わせて「スパイス」と呼ぶこともあります。
もともとはヨーロッパなどの地域で古くから珍重され、日本には中国大陸の文化とともに伝わり、戦後に一般家庭でも使われるように。食欲増進、疲労回復、消化吸収促進、強壮、殺菌といった健康維持のために取り入れる人も多いと言われています。スパイスというと“辛い”というイメージがあるかもしれませんが、辛みはなく香りが強いものもたくさんあります。

日本では世界各地のスパイスが手に入り、インドカレーに欠かせないガラムマサラやターメリック、クミン、コリアンダー、中華料理に使われている八角や山椒、お菓子に使うシナモンなど、馴染みのあるスパイスも多いでしょう。さらに、唐辛子やブラックペッパー、岩塩など日常に使う調味料も、スパイスの一種なのです。意外に身近な存在ではありませんか?

さまざまなスパイスを
料理に使うメリットは?

スパイスを使うと、料理に香りと深みが加わります。既製品を使った料理でも“ちょい足し”するだけで、味わいがワンランクアップするので、ぜひ一度試してみてください。
また、スパイスは基本的に何をどんな料理に入れても美味しくなります。入れてみて「失敗した」と感じることが少ないのも魅力でしょう。
スパイスの組み合わせは無限にあり、複数のスパイスを調合することで香りや味が複雑になり、さらに料理を美味しくしてくれます。レシピ通りに入れても人によって好みが違うので、塩加減を調整するように、少しずつ“足したり”“引いたり”で調整するのも楽しみの一つ。自分にとってベストなバランスを見つけたときの達成感はひとしおですよ。

初心者がお気に入りの
スパイスに出合うには?

スパイス選びで一番大切なのは、香りを嗅いでみて気に入るかどうかです。
新しいものを買い揃えなくても、まずは家にある余ったスパイスを試しに料理に入れてみるだけでも、新しい発見があるかもしれません。レシピを気にせず、「なんとなく合いそう」と感じたらどんどん使ってみてください。


また、スパイスの形状には、原型に近い形の「ホール」、挽いて粉状にした「パウダー」があります。ホールのスパイスは熱することで香りが出て、長く続きます。パウダーはそれ自体が強い香りを発するのですが、ホールに比べて香りが飛んでしまうのが早いです。火にかけるときや漬け込む時はホールで、手軽に使うならパウダーというように、用途に合わせて選びましょう。

風味をキープするために
どうやって保存するとよい?

スパイスは空気に触れることで香りや風味がどんどん落ちていきます。香りが飛んでしまったスパイスを料理に使うと苦みだけが残り、美味しくなくなってしまうので注意が必要です。
スパイスの香りをベストな状態でキープできるのは鮮度の高いホールの原形のもので約3ヶ月、パウダーで約2ヶ月。まとめ買いせず、使い切れる量を少しずつ買うことをおすすめします。

また、調味料として使うため手に取りやすいコンロの近くに置いてしまいがちですが、スパイスにとって熱は大敵。直射日光の当たらない棚にしまうことをおすすめします。
容器は、湿気を防ぐために密閉できるものが好ましいです。シリコンのパッキンが蓋についているものや、ジャムの空瓶、タッパーでもよいでしょう。アルミホイルで包んでジッパー付きのポリ袋に入れても大丈夫です。透明なガラス製だと中身も見えて便利ですよ。

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