おとなの相談室

知っているようで知らなかった悩みに、専門家がお答えします

自宅で気軽に抹茶習慣
〜テーブル茶道で和文化に親しむ〜
(3時間目)

November 29. 2023(Wed.)

和文化の代表格ともいえる茶道。「決まりがたくさんあって難しそう」と、敷居が高いイメージがあるものだが、その真髄は「おもてなしの心」だ。また、複雑な作法を覚えなくても、抹茶は自宅で気軽に点てられるもの。3時間目は、テーブル茶道インストラクターの長田香織さんに、茶道が子どもに与える良い影響や、親子で抹茶を楽しむコツを指南してもらった。

ー1時間目の記事はこちら
抹茶と茶道の歴史を知ろう〜テーブル茶道で和文化に親しむ〜(1時間目)
ー2時間目の記事はこちら
実際に体験してみよう!〜テーブル茶道で和文化に親しむ〜(2時間目)

日本テーブル茶道協会認定インストラクター
長田 香織
静岡県周智郡森町(しゅうちぐんもりまち)にて1948年に創業した『おさだ苑本店』の三代目店主を務める。日本茶や煎茶、和菓子にも通じていて、練りきりアート認定講師、日本茶インストラクターでもある。おさだ苑には抹茶専用の自社茶園があり、自社ブランド「森の抹茶 野乃」は、新鮮な香りと深い味わいで多くの茶人に愛されている。
https://www.ayuomotenashi.com/

3時間目

初心者でも簡単に、
家庭で子どもと
抹茶を楽しもう

親子で抹茶を楽しむひととき

和室のない家も増えていますが、有結流テーブル茶道は、自宅のダイニングテーブルで気軽にできます。
複雑なお点前や客作法通りにお稽古をするのではなく、ゆったりとした気持ちでお茶を味わう時間を親子で楽しんでみましょう。
自宅では、お菓子とお茶を交互にいただいても構いません。抹茶の濃さも、好みに合わせて加減しましょう。
新しいことが大好きなお子さまは、いつもと違った雰囲気のおやつタイムに目を輝かせることでしょう。

「最近は、朝から抹茶を楽しむ方も増えています。抹茶にはカフェインが入っているので目覚めもスッキリします。忙しい朝だからこそ、心静かにリラックスしてお茶をいただく時間を持つことで、気持ちよく一日のスタートを切ることができますよ」(長田さん)

お子さまが茶道を楽しむメリット

子供の頃から日本の伝統文化に触れる経験を積むことは、情操教育の一環です。特に茶道は、生け花や和装、書、陶芸といったさまざまな伝統文化に通じているので、好奇心を育むきっかけづくりにぴったりです。
「茶碗を手前に回し、正面を避けて口をつける」といった、お友達や学校の先生でも知らないことがある客作法を知り、お茶を美味しく、上手に点てられるようになると自信もついて嬉しいものです。
また、有結流テーブル茶道「おもてなし茶の湯」のミニ茶会とお点前体験は、5歳ほどのお子さんでも興味を持って楽しんでくれます。

「普段は活発なお子さまでも、茶道具を前にすると自然と背筋が伸び、驚くほど落ち着いて集中力を発揮しています」(長田さん)

親子で季節を感じてみよう

自宅で抹茶を楽しむ時はぜひ、季節感を取り入れた「おもてなし」を表現してみましょう。
生菓子なら、花びら餅(新年)、桜餅(春)、葛切り(夏)、栗きんとん(秋)、柚餅子(冬)など、季節限定の菓子があります。干菓子にも、色や形で季節を表したものがあります。季節にちなんだ菓子の銘(名前)で、音の響きや由来も楽しめます。
グラスや空き瓶などに、庭や道端で摘んできた草花を飾るのも風情があります。草花の名前を図鑑で調べたり、学校では習わない漢字に触れることもできるでしょう。

「季節を意識して過ごす習慣がつくと、日常の風景が違って見えるようになります。茶道を通して季節の移り変わりを感じ、親子の会話を弾ませてみてくださいね」(長田さん)

一服のお茶をきっかけに、お子さまはもちろん、家族みんなの世界観がどんどん広がっていくことでしょう。

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