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実際に体験してみよう!
〜テーブル茶道で和文化に親しむ〜
(2時間目)

November 22. 2023(Wed.)

和文化の代表格ともいえる茶道。「決まりがたくさんあって難しそう」と、敷居が高いイメージがあるものだが、その真髄は「おもてなしの心」だ。また、複雑な作法を覚えなくても、抹茶は自宅で気軽に点てられるもの。2時間目は、テーブル茶道インストラクターの長田香織さんに、気軽に茶道を楽しむ方法の一つ「テーブル茶道」についてお話を伺った。

ー1時間目の記事はこちら
抹茶と茶道の歴史を知ろう〜テーブル茶道で和文化に親しむ〜(1時間目)

日本テーブル茶道協会認定インストラクター
長田 香織
静岡県周智郡森町(しゅうちぐんもりまち)にて1948年に創業した『おさだ苑本店』の三代目店主を務める。日本茶や煎茶、和菓子にも通じていて、練りきりアート認定講師、日本茶インストラクターでもある。おさだ苑には抹茶専用の自社茶園があり、自社ブランド「森の抹茶 野乃」は、新鮮な香りと深い味わいで多くの茶人に愛されている。
https://www.ayuomotenashi.com/

2時間目
ここだけは押さえておきたい
テーブル茶道の入門編

テーブル茶道体験
「おもてなし茶の湯」

茶の湯では、亭主がお点前をしている間にお菓子をいただき、続いて亭主の点てたお茶をいただきます。
一般的な茶道のお稽古では、お客さまとしてお菓子とお茶をいただく客作法と、亭主としてお茶を点てるお点前を学びます。
客作法は、思いやりや譲り合い、尊敬や感謝、ものを大切に扱う心を形にしたもので、お手前は、一服のお茶にもてなしの心を込めて差し上げるものです。
今回教えていただく有結(あゆ)流テーブル茶道の「おもてなし茶の湯」では、インストラクターのお点前による「ミニ茶会」で客作法の一連の流れを学び、お点前の一部で薄茶を点てていくなかで、気軽に茶道を嗜むことができます。

「全てを覚える必要はありません。まずは茶の湯の精神に触れ、抹茶のある暮らしを楽しむきっかけにしてください」(長田さん)

お客さまとして
お菓子とお茶をいただく

お菓子を先にいただくのは、お菓子の甘みが抹茶の味を際立たせるからです。正式には、濃茶では練りきりや羊羹などの生菓子、薄茶では金平糖や落雁などの干菓子を供します。
①菓子器に入ったお菓子が運ばれたら、2つ折りにした懐紙を自分の前に置き、お菓子をひとつ載せていただきます。
②一口で食べられないものは、菓子切りで一口大に割って口に運びます。
③お茶が運ばれたら、亭主に「頂戴します」と言ってお辞儀をします。
④茶碗を右手で取って左手の手のひらの上に置きます。右手で左回りに45°ずつ2度茶碗を回して飲みましょう。
⑤飲み終わったら、飲み口を右手の指で拭い、指を懐紙で拭いて清めます。右回りに45°ずつ2度回して茶碗の向きを戻し、テーブルの上に置きます。

「菓子器や茶碗は、両手で丁寧に扱いましょう。指を揃えるときれいです。お辞儀をする時は腰から頭まで一直線になるように背筋を伸ばしてくださいね」(長田さん)

テーブル茶道の
茶道具の種類と名前

テーブル茶道のお点前に必要な道具の配置と読み方です。(有結流の場合)

① 茶碗
② 茶筅(ちゃせん)
③ 茶杓(ちゃしゃく)
④ 棗(なつめ)・抹茶
⑤ 建水(けんすい) 
⑥ 茶巾(ちゃきん)
⑦ ポットや水筒
⑧ ラウンドマット

何の用途か、どこで買うか、悩んでしまいますよね。でも、まずは茶筅と抹茶さえあれば大丈夫です。どちらも、一般的な日本茶のお店で販売しています。

「茶碗は、カフェオレボウルや小さな丼、茶杓はスプーン、茶巾はハンカチ、建水はボウルで代用できます。抹茶を入れる棗は、抹茶缶をそのまま使っても構いません」(長田さん)

自分で抹茶を点ててみよう

お点前の練習をしたことがなくても、自宅で気軽に抹茶を点てられるポイントがあります。

①茶碗をお湯で温め、内側を拭き上げる
②茶碗に抹茶を約1.5g入れ、お湯を約80cc注ぐ
③左手を茶碗に添えて右手に茶筅を持ち、手首を上下に振りながら混ぜる
④表面に「の」の字を描いて、手前から茶筅を引き上げる

「手首の力を抜き、Mの字を描くように素早く20回くらい振り動かしましょう。抹茶がだまにならないように均等に混ざればOKです。無理に泡立てる必要はありません」(長田さん)

肩肘張らず、コーヒーを淹れるような感覚で抹茶を点てるのもいいかもしれません。

参考文献:「はじめての茶の湯」主婦の友社

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