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メンテナンスも簡単!苔の育て方
〜「苔テラリウム」の
世界をつくろう〜
(3時間目)

January 22. 2024(Mon.)

ガラス容器に自然の景色を閉じ込めた、おしゃれなインテリアアイテム「苔テラリウム」。数々の作品を生み出している苔アーティストの松井馨可さんに、その魅力や楽しみ方を指南してもらう。3時間目の今回は、ズボラな人でもできる「苔テラリウム」のメンテナンスについて解説してもらった。

ー1時間目の記事はこちら
「苔テラリウム」とはどんなもの?〜「苔テラリウム」の世界をつくろう〜(1時間目)
ー2時間目の記事はこちら
初心者でもできる作り方を指南!〜「苔テラリウム」の世界をつくろう〜(2時間目)

mossloulan 楼蘭 代表 
松井馨可(かおるか)
約20年前に中国から来日。ホームセンターの総合園芸部で働き、植物に関する知識を身につける。苔の持つ生命力に魅せられ、7年前より東京で学び、苔アーティストに。「苔盆景」や「苔テラリウム」をインターネットやイベントで販売。「とよかわオープンカレッジ」などで「苔テラリウム」の講座を担当。2022年4月1日に、実店舗「mossloulan 楼蘭」(モスロウラン)を愛知県豊川市にオープン。「苔テラリウム」のワークショップを開催し、自身の作品やオリジナルの土も販売している。
https://loulanmoss.shop-pro.jp/

3時間目
「苔テラリウム」には
どんなお手入れが必要?

生育のためには
室内のどこに飾るといい?

苔植物は水分と光さえあれば生育するため、育て方はとても簡単です。

まずは、光について。苔植物は日陰のじめっとした場所にも生えているイメージですが、植物であるため光合成は必要です。しかし、LEDや蛍光灯の下や半日陰など、光の弱い場所でも育つのが特徴です。

「苔テラリウム」を棚に飾り、隣にインテリアライトを添えてみてはいかがでしょうか。見た目もおしゃれになり、苔もしっかり育つので一石二鳥です。

逆に、暑さに弱いため、直射日光が当たることでガラス容器の温度が上がってしまいそうな場所は避けるほうがよいでしょう。窓辺に飾るときは、レースカーテンを閉めるのがベターです。

特に、「ヒノキゴケ」は乾燥に弱いので、容器に蓋をして飾ります。ただ、植物も呼吸をしていますので、1日に1回、5分程度は風通しをしてあげましょう。1日1回は大変だと感じる方は、ラップをピッタリと容器にかけて、容器の淵に沿って余分なラップをカッターでカットします。その上から針で20~30か所穴を開けて即席の蓋を作れば、お手入れがラクになります。

「容器の淵にカッターを当てて、容器を回しながらカットすると、きれいに仕上がりますよ」(松井さん)

水やりの頻度は?
忘れたら枯れてしまう?

苔テラリウムは保湿性に優れているため、水やりは週に1回のみで十分。霧吹きで全体に水を吹きかけます。

それに加えて、月に1回ほど水差しで1cmほど貯まるくらいにたっぷり水をあげます。断面に見える「ミズゴケ」が白くなったら、水を欲しているサインです。

苔植物は花を咲かせたり葉をつけたりしないため変化が少ないイメージがありますが、乾燥すると胞子が閉じて、水をあげると開きます。

そして万が一、水をやり忘れても慌てないでください。しばらく水をもらえなかった苔植物の胞子は茶色くなっていますが、これは眠っている状態。枯れてしまったわけではないのです。水をあげれば、また新芽が出てきて、しばらくすると青々とした状態が戻ってきます。

逆に水分が多すぎるときは色が黒っぽくなります。そのようなときは、蓋を外してしばらく日当たりの良いところに置くとやがて元に戻ってきます。

「変色してしまっても、様子をみながら元の状態に戻るのを気長に待ってあげてください。苔の生命力の強さにきっと驚くと思いますよ」(松井さん)

苔植物に肥料は必要?
長く育てるコツ

苔テラリウムに入れる「ヤマゴケ」や「ヒノキゴケ」、「ミズゴケ」は、肥料がなくてもすくすく育つ種類です。
そのため、ミズゴケやヒノキゴケは、伸びたままにしておくと、ジャングルのように生い茂って見た目が悪くなってしまうことも。伸びすぎてしまった部分は園芸バサミで剪定することをおすすめします。
乾燥などが原因で茶色く変色してしまった胞子も剪定してください。「かわいそうだな」と思うかもしれませんが、切ることでまた新しい生命が生まれ、芽が出てくるのです。

苔テラリウムはお手入れをしなくても楽しめるのが魅力ではありますが、手のひらサイズの小さな生命に向き合ってお手入れをする時間も、私たちの心を癒やしてくれることでしょう。

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