甲斐みのりわたしのまちのたからもの

中部地域のさまざまなまちを文筆家・甲斐みのりさんが訪ねます

人・モノ・コトが混ざり合う
“まちの交民館”
那加公園エリア(岐阜県各務原市)

May 07. 2026(Thu.)

ー前回までの記事はこちら
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のどかな公園からまちをどんどん面白く 那加公園エリア(岐阜県各務原市)
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つながって実現する!“楽しみ”を生むコミュニティ 那加公園エリア(岐阜県各務原市)

岐阜県各務原市は、現存する国内最古の飛行場があり、全国有数の航空産業のまちとして知られています。近年、大きな2つの公園「学びの森」「各務原市民公園」を中心とする“那加公園エリア”で、まちを盛り上げようとする機運が高まり、個性ある人々がさまざまな活動を始め、まちに変化が生まれています。
各務原市を拠点とするデザイン会社「リトルクリエイティブセンター」の高野直子さんにご案内いただき、地域で活躍する方々との出会いやまち歩きを楽しみました。

今回は、新たにできたまちの拠点「まちの交民館十’|TEN」に伺い、運営する葉山瑛介さんのお話をお聞きしました。

誰かのやりたいが集まる場所

次に高野さんにご紹介いただいたのは、「かかみがはら暮らし委員会」のメンバーの1人で古民家を再生してまちの拠点をつくった葉山瑛介さん。JR那加駅前にある築100年の物件を改装し、2024年に誕生した「まちの交民館十’|TEN」を訪ねました。

もとは会社員だった葉山さん。毎日、家と会社の往復だけでは出会える人が限られてしまうと感じ、「マーケット日和」を通じて知ったかかみがはら暮らし委員会に入ったそうです。そこで巡り合ったメンバーと、リノベーションや古材を生かしたプロダクト制作を手掛ける「PEP UP CIRCLE」を2022年に立ち上げます。活動するための拠点として借りたのがこの物件でした。

まちで出会った仲間と店づくりを手がけ、建物内にあるコーヒースタンド「KISSA TEN」の運営や古道具の販売もしています。目指しているのは、人・モノ・コトが交わる“まちの交民館”。

「何をやっているかわからない、そんなちょっとカオスな場所をつくりたくて。喫茶店としての利用もできるし、雑貨の買い物もできる。まちのカルチャーを創造する場として、ライブやトークショー、ポップアップショップの出店、編み物会など、何かやりたいことがある人が展示したり表現したりできる。その時々で、ライブハウスになったり服屋になったり。ここをきっかけに、まちで新しい店をつくりたいと行動する人がでてきたらいいなと思っています」と葉山さん。

葉山瑛介さん。「PEP UP CIRCLE」として、
古材や建具、家具や雑貨をレスキューし、
リノベーションやプロダクトに生かす。
十’|TENがあるのはJR那加駅前の交差点。
大正時代から残る古民家を自分たちで改装。
入ってすぐのコーヒースタンドを切り盛りするのは、
十’|TENのDIYへの参加がきっかけで
店主になったぶんたさん。
古道具類も販売。昭和の時代の
懐かしいものがたくさん。

KISSA TENのユニークな試みが「くるくるチケット」。
コーヒーチケットを500円で購入し、メッセージを書いて店の柱に貼っておくと、それを「自分宛てだな」と思った人が受け取ってコーヒーを飲みます。受け取った人は返信用の手紙にメッセージを書くと、チケットの送り主に届く仕組み。
「ある東京のカフェの、店に書き置かれた手紙に返事を書くとコーヒーをごちそうになることができる取り組みを参考に始めました。十’|TENには面白い人たちがふらっと来てくれる。知らない者同士が偶然つながって、何か化学変化が起きたら面白いな、というわくわく感で。そのゆるいつながりが、まちの新しい何かになっていけばいいなと思っています」

コーヒーチケットを購入し、
くるくるチケットに参加。
取材時に参加した「くるくるチケット」とメッセージ。
後日、受け取ってくれた方からメッセージが届いた。

まちの仲間と手を動かしながら、ああでもないこうでもないと場をつくり、立ち寄った人がいつの間にか仲間になって、やりたいことを持った人が次々と集まってくる。十’|TENにはそんな偶然と必然が混ざり合った空気が漂っています。「自分たちのまちを自分たちで面白くする。それを実践できるフィールドを広げていきたい」と葉山さん。ここを起点に生まれた小さな循環は、少しずつ、でも確かにまちに広がっています。


まちの交民館十’|TEN
https://lit.link/kousasuru10
https://www.instagram.com/ten_kousasuru.10/

2階のスペースは、ワークショップや展示会、
趣味の集まりからアーティストの活動の場など
幅広く活用されている。
かかみがはら暮らし委員会
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