カフェで見る景色(アーカイブ)

コーヒータイムを彩る
のどかな眺めと優しい空気
café pomme de terre.
(岐阜県各務原市)

October 27. 2023(Fri.)

長年の夢が形になった場所
滋味深い焼き菓子も魅力

どんな一日でも、コーヒーをゆっくりと飲むことは、心身のバランスを整えるための大切な習慣。自宅でも淹れるけれど、カフェでいただくほうが何倍も満たされる。もちろん、おやつや雰囲気も目当て。今回は岐阜県各務原市で、心から幸せなコーヒータイムを過ごせる一軒に出会った。

大通りから入り、畑の多いのどかな立地に現れた、鉄枠の窓が印象的な白い平屋。庭の飛び石を渡り歩いて扉を開けると、コーヒーの芳醇な香りと明るい笑顔の店主が迎えてくれてホッ。2023年の春に新築して開いたそうで、まだ真新しい空間にアンティークの家具が趣を添えていた。窓外には畑と山並み、広々とした空が広がり、自然の景色と店内の両方を見渡せる角の席へ。

メニューは、店主が惚れ込んだ同県恵那市の「milou(ミル)」の焙煎豆で淹れるコーヒーと、それに合うおやつがメイン。ショーケースには、オーガニックや地元産など安全かつ美味な材料にこだわった焼き菓子が並び、国産小麦と砂糖は口当たりや風味のために数種類を使い分けているとか。おすすめしてもらった「ビターキャラメルナッツのケイク」の濃厚さとほろ苦さが深煎りコーヒーにぴったりで、大人のおいしさをしみじみと堪能した。

ずっとコーヒーが好きで、大学時代からカフェを開く夢を抱き続けてきた店主。メーカー勤務の頃に通った愛知県知立市の小さなカフェで「milou」のコーヒーを飲み感動したことが、開業を決意するきっかけに。また、カフェという存在に何度も救われた経験から、自分もそんな場所をつくってもてなせたら……と思うようになったそう。20年越しの夢を叶えた今は、細く長く続けていくことが目標なのだと穏やかな口調で話してくれた。

流れるジャズと優しい心地に身をゆだね、追加注文をしてのんびりと。江戸時代から続く老舗店の加賀棒茶のオレとともに、非アルカリ処理のカカオや岐阜県産の米粉を使った「ガトーショコラ」、繊細な口溶けの「西尾産抹茶のぽるぼろーね」も。癒やされながら店内に目をやると、皆それぞれが思い思いの過ごし方でとても安らいでいるように見えた。ここでの時間を日常に取り入れられるご近所さんが羨ましい。カフェっていいな、と改めて体感させてもらい、満ち足りた気分で家路についた。

夏に始めたプリンは、同県関市の養鶏場で仕入れる
卵の旨味が生きていた。お菓子は持ち帰りも可能。
10年以上かけて集めたという古い什器が素敵。
西側の窓からは、遠くに金華山まで望める。
ホットコーヒーで使われているカップの作陶者、
ドウガミスミコさんによる呼び鈴。音も愛らしい。
柔和な接客が快い。地道に営みたいという想いを
込めて、フランス語で“ジャガイモ”という店名に。

店舗情報

café pomme de terre.
(カフェ ポム・ド・テ)
カフェやケーキ屋などで経験を積んだ店主が丁寧に淹れる
深煎りコーヒーと、クッキーを含め約10種類の焼き菓子が美味。
「カメリアズ ティーハウス ロンドン」の紅茶もいただける。

MAP

〒504-0812 岐阜県各務原市蘇原坂井町3-85
上部へ戻る