
中部地域のさまざまなまちを文筆家・甲斐みのりさんが訪ねます
のどかな公園から
まちをどんどん面白く
那加公園エリア(岐阜県各務原市)
April 30. 2026(Thu.)
岐阜県各務原市は、現存する国内最古の飛行場があり、全国有数の航空産業のまちとして知られています。近年、大きな2つの公園「学びの森」「各務原市民公園」を中心とする“那加公園エリア”で、まちを盛り上げようとする機運が高まり、個性ある人々がさまざまな活動を始め、まちに変化が生まれています。
各務原市を拠点とするデザイン会社「リトルクリエイティブセンター」の高野直子さんにご案内いただき、地域で活躍する方々との出会いやまち歩きを楽しみました。
今回は、まちづくりのコアである「かかみがはら暮らし委員会」代表理事の長縄尚史(ひさし)さんに委員会発足までの話を伺いました。


緑豊かな公園から広がる
文化の創出と賑わい
岐阜県各務原市に本社を置くデザイン会社「リトルクリエイティブセンター」は、岐阜県内のさまざまな市町村と連携協定を結び、地域の情報も発信しています。各務原市のマルシェイベント「マーケット日和」や、地域コミュニティ「一般社団法人かかみがはら暮らし委員会」にも深く関係し、まちづくり会社「OUR FAVOLITE CAPITAL」も運営しています。
そんなリトルクリエイティブセンターで、編集ディレクターを務めるのが高野直子さん。これまで高野さんとは、岐阜市の魅力的なスポットを紹介するタブロイド誌や複合文化施設の広報誌の制作でご一緒してきました。そして、「各務原市にもいらしてください。おもしろい人や店が多く、甲斐さんも気に入ると思います」と話を聞いて以来、ずっと気になる存在だった各務原市へ、ようやく訪れることができました。
最初に高野さんに案内いただいたのは、岐阜大学農場跡地を市が整備した公園「学びの森」と、公園内にあるカフェ「KAKAMIGAHARA STAND」。ここで、この地域を大いに盛り上げるキーパーソン、長縄尚史さんをご紹介いただきました。




まちづくり会社「OUR FAVOLITE CAPITAL」の
取締役も務める。
美容院を経営する長縄さんは、KAKAMIGAHARA STANDを運営する かかみがはら暮らし委員会の代表理事かつ、OUR FAVOLITE CAPITALの取締役として、那加公園エリアのまちづくりに市役所やリトルクリエイティブセンターとともに取り組んでいます。
「僕とまちとの関わりの始まりは、2013年、市制施行50周年記念に市が市民と一緒にドラマをつくる企画から。手を挙げて参加したら市民ボランティアのリーダーになりました」
まちが変化していくきっかけは、2005年の学びの森の開園、そして2014年の「マーケット日和」のスタートでした。
「学びの森は地元の人が散歩するのに利用されていましたが、あまり活用されていなかった。そんな中、学びの森と、すぐ近くの各務原市民公園を会場にマルシェイベント『マーケット日和』がスタートしました。1年目は市役所が主導しましたが、2年目から民間を巻き込んだ官民連携になり、僕にも声がかかりました」
マーケット日和の開催は毎年11月3日の文化の日。関東や九州からも出展者が広がり、多くの市民に認識されるイベントになりました。出店数は年々増え、12回目となる2025年は、市内外から134店舗が集結。来場者も約24,000人と、中部エリアで最大規模を誇るまでに。今ではすっかり各務原市の秋の風物詩として定着しています。
行政に依存せず
自走して楽しみを生み出す
マーケット日和がスタートして2年後の2016年に発足したのが、かかみがはら暮らし委員会です。年に一度だけ人が集まるのではなく、学びの森に日常的に賑わいを生み出したいと、マーケット日和の初期の企画委員会メンバーが中心となり立ち上げました。長縄さんや、リトルクリエイティブセンターの代表など各務原市にゆかりのある5人でのスタートでした。
学びの森にあった喫茶店の閉店に伴い、市が次の管理事業者を募るプロポーザルがおこなわれ、かかみがはら暮らし委員会の提案が選定されました。そうしてできたのがKAKAMIGAHARA STANDです。カフェとしてだけでなく、個展、ポップアップショップ、ライブなどのイベントをおこない、新たな文化や人々の交流が生まれる場となりました。またコーヒーをテイクアウトして公園でくつろぐ人が増えるなど、学びの森に日常的な人の流れが生まれました。
「イベントを開催することがゴールではなく、イベントから日常へ、日常からイベントへと、どうやって繋げていくのかが重要。地域のイベントは、出店者が地域の方に偏りがちですが、我々としては地域の中で完結するより、他所から人が来てくれることも大事にしたい」と長縄さんは言います。
次第に、かかみがはら暮らし委員会には、「まちを楽しくしたい」との思いを持った人が集まり、その輪が広がっていきました。
芝生広場が広がり、池が点在する。
長さ250mのイチョウ並木も美しい風景を織りなす。
敷地内に図書館がある。





