甲斐みのりわたしのまちのたからもの

中部地域のさまざまなまちを文筆家・甲斐みのりさんが訪ねます

つながって実現する!
“楽しみ”を生むコミュニティ
那加公園エリア(岐阜県各務原市)

May 01. 2026(Fri.)

ー前回までの記事はこちら
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のどかな公園からまちをどんどん面白く 那加公園エリア(岐阜県各務原市)

岐阜県各務原市は、現存する国内最古の飛行場があり、全国有数の航空産業のまちとして知られています。近年、大きな2つの公園「学びの森」「各務原市民公園」を中心とする“那加公園エリア”で、まちを盛り上げようとする機運が高まり、個性ある人々がさまざまな活動を始め、まちに変化が生まれています。
各務原市を拠点とするデザイン会社「リトルクリエイティブセンター」の高野直子さんにご案内いただき、地域で活躍する方々との出会いやまち歩きを楽しみました。

今回は、「かかみがはら暮らし委員会」の役割について、代表理事の長縄尚史さんにお聞きしました。

飾らずに話し合い
ワクワクを共有する

「学びの森」「各務原市民公園」の2つの公園を中心に毎年秋におこなわれる人気のマルシェイベント「マーケット日和」。その賑わいを日常にしたいと2016年に発足したのが「かかみがはら暮らし委員会(以下、「委員会」)」です。5人から始まったメンバーは100人弱にまで増えました。月に1回「寄り合い」という交流会をおこない、自由に意見を交わし合います。やってみたいことがあれば協力して実現したり、趣味の“部活動”を結成したりして交流を深めています。長縄さんによれば、メンバーのうち各務原市民は半分くらいなのだそう。あと半分は、市外に暮らす人たちです。

「委員会は、まちを楽しむ人の集まりです。楽しむ“まち”は、会員それぞれの“まち”でよくて、各務原市に限定していません。一般的に地域コミュニティは、ある程度属性が限定されてくるものですが、メンバーは実にバラバラ。“コミュニティとは”と定義づけてハードルを上げてしまうと、誰かと話す機会がどんどん減ってしまいます。委員会では、自分の属性とは異なる人たちと話してつながりを持ち、互いの価値観が担保されるような関係性を築いています」と長縄さん。同時に、課題解決を掲げすぎると関われる人が少なくなるため、意識的に、「まちづくり」をミッションとして打ち出していないのだとか。

かかみがはら暮らし委員会「寄り合い」。
市内外から多様な人が参加する。

“コミュニティづくり”と“まちづくり”が混ざりきらず、ちょっとだけ重なる部分をつくる。そうすることで、コミュニティの一員だった人が少しずつまちづくりの活動に関わったり、その逆もしかり。片方が入り口に、もう片方が出口に。
長縄さんが、かかみがはら暮らし委員会とは別にまちづくり会社「OUR FAVORITE CAPITAL」に携わっているのも、そんな思いが込められています。

KAKAMIGAHARA STAND

高野さんとともに、長縄さんのお話をうかがった「KAKAMIGAHARA STAND」は、かかみがはら暮らし委員会の拠点であり、人々の憩いのカフェであり、さまざまなイベントが開催される集いの場。

そんなスポットがのどかな公園の中にあるなんて、日頃から公園でおやつを食べたり本を読んだり、ゆったり過ごすことが好きな私にとって、理想的な空間です。取材で訪れたこの日も、平日の昼間にも関わらず利用者が多く、おしゃべりを楽しむ人や公園に遊びに来た親子がひと休みする和やかな風景が見られました。

建物は市役所から借りているため、キッチン周りも改装が難しく、提供できるメニューが限られています。けれど、学びの森により多くの人が足を運ぶようになれば、食事ができる場所も必要です。そこで、隣接する空き家をリノベーションして飲食店をつくったり、屋内型の遊び場施設「KAKAMIGAHARA PARK BRIDGE」ができたり、那加公園エリアに点が増えて、回遊性が生まれ、“公園から始まるまちづくり”が波及していきました。

公園に市民が文化を生み出す場所があるとは、なんと幸せなまちなのだろうと羨ましくなります。かかみがはら暮らし委員会のような団体が運営するスタイルも、これからの公園や施設の運営のあり方のモデルになるのではと思いました。


KAKAMIGAHARA STAND
https://kakamigaharastand.com/
https://www.instagram.com/kakamigahara_stand_new

ギャラリーも併設され、さまざまなイベントが開催される。
公園側はガラス張りで、
外の景観と繋がる解放感ある店内。
カウンターには、岐阜県産小麦粉を
100%使用した「蒸しぱん」など、焼き菓子が並ぶ。
店内でイートインするもよし、テイクアウトして
公園の芝生やベンチで味わうもよし。

躍動する那加公園エリアについて知るなら、リトルクリエイティブセンターが編集・デザインを手がけた本『NAKA VISION』をぜひ手にしてみてください。このエリアの店や景色、まちを彩るプレイヤーの魅力が、ぎゅぎゅっと詰まった一冊。訪れたくなる場所、食べてみたいもの、会ってみたい人(や猫)が満載です。
「『NAKA VISION』を開いて、ここに行ってみようという人が増えたら嬉しい」と高野さんが願うとおり、私も掲載店のいくつかを巡り、まち歩きを楽しみました。

リトルクリエイティブセンター
https://licrce.com/

さかだちブックス
https://sakadachibooks.com/

リトルクリエイティブセンターが運営する
出版社「さかだちブックス」が編集を手がけた
『NAKA VISION』。
かかみがはら暮らし委員会
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