中部和菓子図鑑

高島屋の和菓子バイヤーが中部地域注目の和菓子をご紹介

「笠松志古羅ん(かさまつしこらん)」
餅・和菓子処 いなみ
・岐阜県笠松町

April 10. 2024(Wed.)

後世に残したい
江戸から続く笠松の銘菓

「笠松志古羅ん」は、餅米をベースにしたあめ菓子で、ニッキの風味が効いたおこしのようなものです。
太閤秀吉が京に上る時に木曽川河畔で休憩し、そこでこのお菓子を食べ「かぶとのしころ(かぶとから垂らして首を防御するもの)に似ており、香りは蘭のようである。これは街道の名物だ」と言ったと伝わっています。そこから、“しこらん”の名前がつけられたのだそうです。
徳川の時代になると、笠松は幕府直轄の天領になり、「笠松志古羅ん」は、歴代の代官より幕府への献上品となります。

このお菓子は、1562年に創業した笠松の和菓子屋「太田屋半右衛門」が代々つくってきました。ところが、15代、16代が相次いで早逝し、店は廃業。
しかし笠松の銘菓として愛され続けてきたことから、どうしてもこのお菓子は後世に残すべきであるという意見が多く、16代の妻から笠松菓子組合に製造技術が継承されることになりました。
組合に属する和菓子屋の主人たちが定期的に集まって製造し、分配してそれぞれの店で販売するという特殊な形態をとっています。
砂糖、水飴などにニッキやごま油などを加えて、高温まで熱して、米のお菓子にさっとからませて棒状にカットしたもので、実に味わい深く、ついもう一個と手が出てしまう美味しさ。太閤秀吉からお褒めの言葉をいただいたというのもうなずける素朴な味わいです。
また和菓子屋の主人たちが集まってみんなで協力し、地元の銘菓を作って後世につなげるという仕組みには、方々から感嘆の声が上がっていることでしょう!

ひと口サイズのものが1袋に5個入っている。
現在、笠松にある5軒の和菓子屋で販売。
パッケージはどの店舗も共通。
「地元の人にとっては懐かしい味。遠方に出た人が
買いに来てくれますよ」と、いなみのご主人・稲見義彦さん。

店舗情報

餅・和菓子処 いなみ
笠松駅から歩くこと約15分、旧街道沿いに進むと店舗が見えてくる。木曽川河畔にも近く、数軒隣には、国の登録有形文化財に指定されている杉山邸が。まち歩きとともに立ち寄りたい、地元の和菓子屋だ。季節のお菓子が所狭しと並んでいる風景は、どこか懐かしくホッとした気分になる。

MAP

〒501-6052岐阜県羽島郡笠松町下本町58-1
電話番号:058-387-4839
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