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高島屋の和菓子バイヤーが中部地域注目の和菓子をご紹介
母娘でのれんを守る
旧宿場町の老舗和菓子屋
甘静舎(かんせいしゃ)・
静岡県静岡市
August 16. 2023(Wed.)
200年を超える老舗和菓子店を、
一念発起で再開。
甘静舎の創業は1781年(天明元年)。東海道の江尻宿にほど近い場所で、旅人に団子とお茶を提供するお店としてはじまったと伝えられています。このあたりは東海道の宿場町として栄えた地域で、銀座・魚屋・紺屋などお城に出入りする商人や職人が多く住んでいた地域だったといいます。人や物の往来で賑わった東海道沿いの和菓子屋として、江戸から明治、大正、昭和、平成と、長く地域に愛されてきた甘静舎でした。ところが、2008年に後継のいない店主が急逝して閉店を余儀なくされました。
200年以上続いてきた歴史をこのまま閉じてしまっていいのか、と自問したのは、亡くなった店主の妹にあたる佐々木温恵さん。佐々木さんと娘である藤波一恵さんが一念発起し、甘静舎の再開に向けて活動をする、と宣言したのです。
「実家である甘静舎で生まれ育ち、祖父母や両親、そして兄の思い出がいっぱいのお店と歴史を、どうしても守りたいと思いました。娘が和菓子の学校に通ってくれることになったので、私はお店で接客をすることに。子どもの時からお店の環境には慣れているので違和感はありませんでした。娘はもともと器用なタイプだったこともあり、お菓子の製造は娘にすべて任せております」と温恵さん。娘の一恵さんは、もともと甘静舎で「河童まんじゅう」という商品名で出していた黒糖まんじゅうを自分なりにアレンジして、河童を模ったカラフルなまんじゅうとして再構成。2016年に新たな甘静舎として再開を果たしました。今では“河童の和菓子屋さん”として広く愛されています。
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稚児橋で魚の荷下ろしをしていたそう。
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からプレゼントされることもしばしば。
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七夕の練り切り。小さな河童がのっている。
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夏の人気商品。
【店舗おすすめ】「河童の屁」
甘静舎のもうひとつの看板商品が「河童の屁」です。卵白を泡立てたメレンゲに和三盆を加えてオーブンで焼いたもので、口の中に入れた瞬間に、フワッと溶けてなくなり、和三盆のやさしい甘味が残ります。
「このお菓子をはじめて試食したお客さんが『なんじゃ、こりゃあ屁みてえな菓子だなあ!』とその口溶けの良さを褒めていただいたんです(笑)」と一恵さん。大笑いしながらも“屁の河童”という言葉があるので、これは良い!と盛り上がり、そのまま商品名として使われるようになったのだとか。
綿菓子のような味で美味しい!とすぐに評判となり、リピーターが非常に多い商品なのだそうです。
「お薬を飲まないといけない年配の方が、食欲がない時でも軽やかに食べられるからいい!とおっしゃったり、歯が悪いけど甘いものは食べたいという方から評判が良かったり。人気商品なんですよ」
確かに口溶けが良く、和三盆独特の上品な甘味が残るのが印象的。幅広い年齢層の方から評判が良いというのもうなずける、小さなかわいい和菓子です。
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接客を担当する“看板娘”の佐々木温恵さん(右)。
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ここに棲むという伝説の河童の像がある。
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店舗情報
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- 甘静舎(かんせいしゃ)
- 河童が棲むという伝説がある巴川のすぐ近く、川を渡す稚児橋からほどない東海道沿いに、1781年に創業した老舗和菓子店。店舗がある江尻町(えじりまち)は、かつての宿場町。江戸の昔から、多くの人が行き交った場所で、長く和菓子の商いを続けてきたお店である。店舗の壁面には河童の絵が描かれている。