中部和菓子図鑑

高島屋の和菓子バイヤーが中部地域注目の和菓子をご紹介

長い歴史を刻む
島田宿の老舗和菓子店
清水屋・静岡県島田市

July 31. 2024(Wed.)

大名の助言で生まれた
老舗店の定番菓子

清水屋の創業については、正確な年月が記録に残っていないのですが、1722年ごろ(享保年間)、すでに和菓子屋を営んでいた5代目・伝左衛門が、甘酒皮でつくる酒元饅頭を紀州浪人から教わったと伝わっています。

享保年間で5代目ということは、創業はそれよりももっと古いということになります。参勤交代で島田を訪れていた茶人大名の松平不昧(まつだいらふまい)公から、ひとくちで食べられるサイズに、と助言を受けたことで、現在の定番人気商品である「小饅頭」が完成しました。それが街道一だと評判になり、小饅頭を求める旅人で賑わったのだそうです。

現在の店主で14代目を数え、島田市を代表する和菓子店として広く知られるようになりました。東海道島田宿の近辺で何度か移転を重ね、現在は駅前通りの店が本店、生産工場は島田市内にもち、定番商品は駅のキヨスクなどでも販売されています。

お店に入ると正面に人気の「小饅頭」が並ぶ。
生菓子コーナーもあり、充実の商品ラインアップ。
紙袋には、「黒大奴」とそのイメージソースに
なった帯祭りの様子が描かれている。

【店舗おすすめ】「黒大奴」

こちらも年間を通じて大人気の商品「黒大奴」。
北海道産の小豆で丁寧につくったこしあんの“あん玉”を、昆布入りの羊羹で包み込んだものです。昆布入りというところが一番のポイントで、昆布が入ることで、わずかな塩味とツヤ感が出てくるのだとか。全国にこしあんと羊羹でつくられた和菓子は数多く存在しますが、昆布を入れる工夫はほかにはないもの。

「黒大奴」が昆布を使っていることを知る地元の人々は、手土産にする時も一言添えて贈っているといいます。お菓子に昆布は思い浮かばないかもしれませんが、こしあんの甘みを引き立てており、そのバランスの良さと奥深い味わいに多くのファンがいます。

さらに島田市はお茶の名産地でもあり、毎年新茶の季節になると、「黒大奴」と新茶のセットが清水屋で販売されます。そちらもお土産品として大人気の商品となっているようです。

美しく輝く表面のツヤこそ、「黒大奴」の特徴。
カットすると、しっとりした断面が出てくる。
食べる前に30分ほど冷蔵庫で冷やすと、
きれいなツヤが出る。

店舗情報

清水屋
島田駅からのびるメインストリートを歩いて5分ほど進むと、清水屋の看板が見えてくる。店頭には、定番商品の「小饅頭」や「黒大奴」をはじめ、生菓子、焼き菓子などがずらり。ひっきりなしにお客さまが訪れる様子がとても印象的。地元に愛される和菓子店であることがよくわかる。

MAP

〒427-0022静岡県島田市本通2-5-5
電話番号:0547-37-2542
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