中部和菓子図鑑

高島屋の和菓子バイヤーが中部地域注目の和菓子をご紹介

「常友(つねとも)」
桜間見屋(おうまみや)・岐阜県郡上市

October 23. 2025(Thu.)

なつかしいニッキの香りが
ふんわり香る餅菓子

店内に入ると、「肉桂(ニッキ)」の香りがどこからともなく漂ってきます。桜間見屋は、もともと肉桂を使った飴菓子の店。この餅菓子「常友」にも肉桂が使われています。
「常友」は、蒸した餅粉に上白糖(じょうはくとう)と水飴を加えて練り上げた求肥(ぎゅうひ)の和菓子で、ふわふわの食感が印象的。商品名は、郡上の三代目八幡城主・遠藤常友からとっているのだそう。遠藤常友は、郡上の町並みを築いた人物で、詩歌を愛したことでも知られており、今でも郡上の人々からは地元の文化をつくったお殿様として親しまれています。

なぜ郡上で肉桂なのか? その疑問を店主の田口大介さんに聞いてみました。すると、郡上で肉桂が使われる背景には、歴史的なつながりがあるようで、郡上八幡城主の話題になりました。
「最後の城主であった青山幸宜(ゆきよし)は丹波篠山(兵庫県)からこの地にやってきましたが、その際に、丹波篠山の城下町で雇っていた職人を大勢連れてきたといいます。ちょうどその頃、京都では肉桂を使った八ツ橋がつくられ始めた時期でもあり、お菓子に肉桂を使うことが関西で流行っていたのではないでしょうか」
当時の桜間見屋の店主と、その和菓子職人が交流したのかどうか、詳しいことは想像の域を出ませんが、肉桂の飴の専門店としてスタートしたきっかけのひとつだったようです。

店内のショーケースには、肉桂のもとになる
桂皮が飾られたコーナーも。
白は肉桂の香りがついたもの、
茶は肉桂の粉と香料が混ぜられたもの。
箱売りのほか、バラ売りもされている。

店舗情報

桜間見屋(おうまみや)
観光客で賑わう郡上八幡のメインストリート沿いに店を構える。築約100年の建物は、太い梁や柱など贅沢な造りで、この町の風情の一部となっている。桜間見屋を起点にして、郡上八幡のまち歩きを楽しんでもらいたい。

MAP

〒501-4216岐阜県郡上市八幡町本町862
電話番号:フリーダイヤル0120-054-13
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