中部和菓子図鑑

高島屋の和菓子バイヤーが中部地域注目の和菓子をご紹介

肉桂にこだわり続ける
郡上八幡の老舗和菓子店
桜間見屋(おうまみや)・岐阜県郡上市

October 24. 2025(Fri.)

紆余曲折を経て
郡上八幡を代表する和菓子店へ

創業は明治時代中期の1887年と伝わっていますが、江戸時代からあったのではないかとも言われており、創業に関する歴史は定かではないそうです。大正時代にこのあたりで大火があり、店舗の裏にある蔵と看板だけが残り、店に関して記述された書類はすべて消失。詳細はわからなくなってしまったとのこと。

現店主は6代目の田口大介さん。田口家は、すぐ近くで旅館「桜陽館」を経営していましたが、昭和になってから親戚だった和菓子店の「大間見屋」を買い取りました。旅館の名前の「桜陽館」から1文字をとって、読み方はそのままで「桜間見屋」と改名。以来、桜間見屋として郡上八幡を代表する和菓子店となり、現在に至ります。

店のすぐ脇が、観光名所「宗祇水(そうぎすい)」
へ続く小径になっている。
郡上八幡の土産品を販売する
コーナーも充実している。
郡上踊りのシーズンは町中に
提灯が掲げられ、ムード満点。
名物「肉桂玉」のロゴのイメージカラーは
インパクトある赤と黒。
のれんは、江戸時代から郡上で伝統の染色をおこなう
郡上本染「渡辺染物店」によるもの。

【店舗おすすめ】「肉桂玉(にっけいだま)」「黒肉桂(くろにっけい)」

桜間見屋の看板商品で、もっとも人気の高いお菓子。白双糖(しろざらとう)に肉桂油を練り込んで煮て、飴に仕上げていきます。飴は冷めるとすぐに固まるので、熱があるうちに一気に肉桂油を加えて香りをつけていきます。最後は丸く形を整えて、砂糖を表面にまぶして出来上がり。
白が「肉桂玉」で、茶は白双糖ではなく沖縄県産特等黒砂糖に肉桂油を練り込んだまろやかタイプ「黒肉桂」です。

口の中に入れて飴がだんだん溶けていくと、どちらのタイプも肉桂のピリッとした辛さを感じますが、それが心地よい刺激。例えるなら、ショウガの辛みがクセになるような感覚でしょうか。肉桂油は桜間見屋のために生産される特注で、香り豊か。缶を開けた瞬間に、ふわっと肉桂の印象的な匂いがたちこめます。まるで肉桂の香りで魔法にかかってしまうかのような、不思議な香りです。

白双糖=高純度で大粒の結晶である白ザラメ糖のこと

手軽な袋サイズから、缶入り、詰め合わせなど、
さまざまなパッケージがある。
肉桂玉の詰め合わせ用箱の
デザインはダイナミックで印象的!

店舗情報

桜間見屋(おうまみや)
観光客で賑わう郡上八幡のメインストリート沿いに店を構える。築約100年の建物は、太い梁や柱など贅沢な造りで、この町の風情の一部となっている。桜間見屋を起点にして、郡上八幡のまち歩きを楽しんでもらいたい。

MAP

〒501-4216岐阜県郡上市八幡町本町862
電話番号:フリーダイヤル0120-054-131
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