中部和菓子図鑑

高島屋の和菓子バイヤーが中部地域注目の和菓子をご紹介

「みかん最中」
入河屋 (いりかわや)・浜松市

November 11. 2025(Tue.)

みかんの形・色
香り漂う最中

静岡県の三ヶ日町といえば、みかん! まち中にみかん畑があり、まちを代表する名産品です。

その三ヶ日町(浜松市浜名区)にある和菓子店・入河屋の代名詞が、みかん最中。今や三ヶ日町土産として人気を誇りますが、このお菓子が生まれたのは、戦後、日本中が復興に向けて活気を取り戻した頃でした。現当主の5代目・松嵜善治郎さんの祖父は戦争から帰ってきてすぐに銀行に勤めます。お菓子の材料が入手しにくかったこともあり、入河屋は一時的に休業していたからです。やがて物資が動くようになった頃、無事に営業再開を果たします。
ビジネス需要や帰省の折などに、三ヶ日町の手土産がないことに気がついた祖父は、名産品のみかんを使ったお菓子をつくろう!と思いたち、現在のみかん最中の原型がここで誕生しました。最中の皮は、みかんの断面をモチーフにした模様で、それが画期的なビジュアルだと大人気になりました。

現在のみかん最中は、地元でとれた無農薬の青みかんの果汁・果肉・皮をすべて使いペースト状にしたものを、北海道帯広の白豆「大手亡」でつくった白あんと混ぜ、それを近江の羽二重餅米で焼いた最中種ではさんでいます。袋を開けた瞬間にみかんの香りがふわっと立ち、みかんの断面を模した最中皮は、思わず声をあげてしまうかわいらしさ。国内線ファーストクラスなどで提供されるのもうなずける美味しさです。

みかんをカットして見えてくる断面が、
最中の皮のデザインになっている。
かつて、みかん最中で使われていた焼き型。
現在は店頭でオーナメントになっている。
あんのオレンジ色は、着色料を使わず、みかんの
天然の色と職人による火加減の技によって現れる。
個包装になっているので分けやすく、
日持ちするので、手土産にぴったり。

店舗情報

入河屋  (いりかわや)
浜名湖の西北につながる猪鼻湖(いのはなこ)を眼前に抱くゆるやかな丘の上の国道沿いに、入河屋の三ヶ日本店がある。三ヶ日土産の定番であるみかん最中を求め、多くの人がが来店する。隣接するパン屋「入河屋五代目善治郎」とともにいつも賑わっている。

Instagram
https://www.instagram.com/irista_1885/

MAP

〒431-1424静岡県浜松市浜名区三ヶ日町下尾奈83-1
電話番号:053-525-0902
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