中部和菓子図鑑

高島屋の和菓子バイヤーが中部地域注目の和菓子をご紹介

「姫街道」で
甘味を提供し続ける
入河屋 (いりかわや)・浜松市

November 12. 2025(Wed.)

菓子もパンも
「おいしい」を追求

入河屋の創業は1885年。和菓子を中心に地域に根ざしたお菓子をつくり続け、現在では和菓子・洋菓子、さらにパンも取り扱うようになり、ひっきりなしにお客さまが来店する人気店に。

実は、初代はもともと、現在の湖西市で魚屋を営業していたそう。当時、宿場町であった三ヶ日町に魚を売りに来ていたが、魚屋の経営が貸し倒れでうまくいかなくなった。その際「三ヶ日でなにか商売をやりなさい」と知人に進言されたのです。三ヶ日は東海道の脇街道、通称・姫街道といわれ、女性が行き来した文化がありました。初代は旅籠などでいろいろと情報収集をしていたのでしょう。女性たちは甘いものを好むと聞き、そこでお菓子をつくれば需要があると考えたそうです。
「今思うと、御先祖さまの先見の明によって和菓子屋をさせてもらっているなと感じます」と、5代目の松嵜善治郎さん。
松嵜さんの父が洋菓子をはじめ、松嵜さんは東日本大震災の際に食べ物として必需品であるパンに注目してベーカリーをはじめます。時代は移り、さまざまなチャレンジをおこなってきた入河屋。「常に頭にあるのは、三ヶ日という町とともに生きることです」と松嵜さんは話します。

創業者である甚作さんを
イメージしてつくられた人形。
洋菓子コーナーも充実! フレッシュフルーツを
使ったケーキなど人気商品がいっぱい。
ロゴマークや包装紙、紙箱などのデザインは、
美術家の味岡伸太郎氏によるもの。
隣には、同経営のベーカリーが。
和菓子屋と自由に行き来ができる。

【店舗おすすめ】「大福寺納豆 かりんとうみそまん」

大福寺納豆とは、歴代の将軍に献上していたもので、いわゆる浜納豆と呼ばれるみその素になるものとほぼ同じ。徳川家康が好んで食べていたと伝えられており、浜名湖周辺の名物でもあります。
「大福寺納豆は若い世代は知らないかもしれません。地元の名産ですから、わたしたちが商品に使って消費していくことで、なんとか次代につなげる一助になれば」と松嵜さんは話します。
また三ヶ日のあたりでは、黒糖を使った饅頭のことを、色合いが似ているため、みそまんじゅうと呼ぶそうですが、実際にみそが使われているわけではなかったとのこと。それなら、本当にみそと黒糖の両方を使って「みそまんじゅう」をつくってみようと思い立ち、開発したのだとか。
沖縄産の黒糖と大福寺納豆を練りこんだ生地でこしあんを包み、蒸し上げた後、油で揚げています。外側はカリッと、内側はしっとりとして、深いコクのあるかりんとうみそまんに仕上がっています。

1個の生地に大福寺納豆1粒分のペーストが
練りこまれている。発酵により生み出された
旨味を感じられる。
5個入りのパッケージ。仕事先へのちょっとした
差し入れや自宅のおやつにぴったり。

店舗情報

入河屋  (いりかわや)
浜名湖の西北につながる猪鼻湖(いのはなこ)を眼前に抱くゆるやかな丘の上の国道沿いに、入河屋の三ヶ日本店がある。三ヶ日土産の定番であるみかん最中を求め、多くの人がが来店する。隣接するパン屋「入河屋五代目善治郎」とともにいつも賑わっている。

Instagram
https://www.instagram.com/irista_1885/o/

MAP

〒431-1424静岡県浜松市浜名区三ヶ日町下尾奈83-1
電話番号:053-525-0902
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