中部和菓子図鑑

高島屋の和菓子バイヤーが中部地域注目の和菓子をご紹介

街道行き交う城下町で
旅人の心を癒やす飴
新橋屋飴店・長野県松本市

February 12. 2025(Wed.)

砂糖に頼らない
やさしい甘さが特徴

松本市は、いろいろな街道が行き交う交通の要所であり、松本城の城下町です。昔から多くの人の往来があったことから、街道沿いなどに和菓子屋ができていったようです。

新橋屋飴店は、今から約170年前、江戸時代の嘉永年間の創業。店名は、店舗のすぐ西側を流れる奈良井川にかかる橋の“新橋”に由来します。
江戸の昔は、多くの人が、この新橋を渡って旅をし、新橋屋飴店の米飴で疲れを癒したのではないでしょうか。

新橋屋飴店の飴のなによりの特徴は、砂糖に頼らずに「麦芽糖化法」という昔ながらの自然技法によって甘みを出していることです。砂糖を溶かしてつくる飴ではなく、もち米と大麦が持っている甘みを時間をかけて引き出しています。

安曇野産のもち米を炊き、国産大麦麦芽と松本の美味しい水を加えてひと晩おくことで、米のでんぷんが糖化され甘い汁ができます。それを煮詰めた“米飴”を同店のすべての飴の原料にしているのです。やさしい甘みだと感じるのには、こうした理由があるからでしょう。

飴を炊く熱源は、昔ながらの薪。
すべての商品のベースである「純米飴」や、
米飴に水飴を足した「たぐり飴」が
販売されている。
“あめ”の文字の飾り物がお店のあちこちに。
包装紙には、飴のつくり方が手描きの
イラストで説明されている。

【店舗おすすめ】「新ばし飴」

店名がそのまま商品名になった「新ばし飴」。正方形に切り出された真っ白な飴です。米飴と水飴を攪拌させることで、空気が入りふんわりとした白色になります。
板チョコレートのように筋がついた長方形に形づくられており、手で割って口の中へ。なんともいえない奥深い甘みがしみじみ美味しく、口の中の温度でやさしくゆっくりと溶けていきます。
昔からの製法そのままに、地元の材料を使ってつくられる「新ばし飴」は、飴どころ松本を代表する銘菓といえるでしょう。

パッケージに描かれているのは、
松本城や常念岳。
やわらかい場合は冷蔵庫で冷やしてから、
包丁の背でコンと割るとよいのだそう。
板チョコのような形状になっており、
のし餅のように手で割って食べる。

店舗情報

新橋屋飴店
JR松本駅から北へ、信州の美しい山の稜線を横目に車を走らせること約10分。昔ながらの商家の造りの店舗が見えてくる。店内には、甘い香りが漂っており、創業当時からほぼ製法が変わらない飴が何種類も並んでいる。

Instagram
https://www.instagram.com/shinbashi_ame/

MAP

〒390-0865長野県松本市新橋3-21
電話番号:0263-32-1029
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