カフェで見る景色(アーカイブ)

新旧の魅力が共存した
発信型の複合施設へ
SoN(愛知県知多市)

June 30. 2023(Fri.)

食事もコーヒーもパンも
町歩きも楽しみたい

遠い時代に思いを馳せられる古い町並みが好きで、津々浦々を歩いてきたけれど、愛知県知多市の岡田という町は知らずにいた。江戸時代に農家が織り始めた“知多木綿”で栄えたそうで、緩やかに起伏する細道に歴史の刻まれた建物が点在し、コンパクトながら情趣たっぷり。公共駐車場から散策も楽しみつつ、今回の目的地であるクラフトビール醸造所が開いた複合施設を目指した。

築86年という立派な古民家に着いて、まずは売り切れる前に小さなベーカリー「かもぱん」へ。加水率にこだわった20種類ほどのパンが並び、ハード系やあんパンなどを購入。そしてランチをいただきに「SoN DINING」へ入店すると、古びた佇まいと現代的なセンスが融合した魅力あふれる空間が広がった。建築時のままの梁やガラス窓、“知多木綿”の機織り機を利用した照明、無数のビールの王冠が埋められたカウンターなど、この地やビール屋ならではの見どころがあちこちに。

4種類のランチから選んだベジプレートは、瑞々しいサラダが盛られた皿の下に、色とりどりのデリと洋風おむすびが隠れていて、口にする前からワクワク。出し殻で炒めたニンジンしりしり、ナスのアグロドルチェ、おからとトマトのチーズディップなど、知多半島産の野菜を新たなおいしさで楽しめた。ビールを醸すときに出る麦芽入り自家製蕎麦“木麺(もめん)”が付くのも嬉しい。

ランチ後は「SoN COFFEE」で、リキュール代わりにビールを使ったガトーショコラをカフェラテとともに味わいながらのんびりと。スペシャリティコーヒー豆は、新舞子の「オワゾーコーヒー」によるオリジナルブレンド。古民家の縁側と建具を生かした造りが趣深く、外を眺めて種類豊富なビールを飲むのも心地いいだろうな……と妄想した。

店名には「村」と「Symbol Of Neighborhood(地域の象徴)」と「息子(次世代へ)」という3つの意味が込められているそう。生まれ育った岡田を愛し、地元内外の人々との交流を大切にしながら、新たな文化を創り繋いでいく発信型の“村づくり”に励む店主。芸術祭や夏祭りも催して盛り上げ、今は宿泊施設をつくる夢を抱いていると話してくれた。一泊二日で楽しめるようになったら、観光と昼下がりのビールも目当てに訪ねたい。

混ぜても美味なベジプレート。ドリンク付きで、
テイスティング用のクラフトビールも選べる。
吹き抜けが開放的な「SoN DINING」には2階席も。
丸みを帯びたレジカウンターは廃材で製作。
古民家にピンクの壁が映える「SoN COFFEE」。
ベーカリーのパンをここで食べてもいいそう。
お辞儀を意識して設けられた「かもぱん」の戸口。
パンのもっちり食感がとても好みだった。

店舗情報

SoN(ソン)
ブルワリー「OKD KOMINKA BREWING」の店主が
2022年6月にオープンさせた一軒家の複合施設。
店の奥には、蔵を利用したギャラリーも潜んでいる。

Instagram
https://www.instagram.com/son___okada

MAP

〒478-0021愛知県知多市岡田東島9
電話番号:0562-77-4901
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