カフェで見る景色(アーカイブ)

心を繕ってくれるような
コーヒー×スイーツの相性
tsukuroi(三重県四日市市)

November 24. 2023(Fri.)

スペシャルティコーヒーを
もっと楽しむために

生産から消費までの過程で、厳しい管理が行き届いた高品質なスペシャルティコーヒー。その素晴らしさを広めたいと、2018年から三重県鈴鹿市で「coffee uno(ウノ)」を営んできたご夫婦が新たにオープンさせた二号店へ。

タイル貼りのマンションの一階にあり、板チョコのようなアンティークのドアを開けて入店。右手には黄土色の壁がアクセントとなった温かな雰囲気の客席が広がり、左手にはシックな色調でまとめられたコーヒーを淹れるためのカウンターが設けられていて、その対比がおもしろい。聞けば、それぞれにスイーツとコーヒーの印象を表しているとか。中央にあるショーケースにはチーズケーキやティラミスなどが並び、焼き菓子も豊富で目移りする。

豆の生産者にフォーカスを当てて、シングルオリジン(単一産地・単一品種)のコーヒーを提供してきた一号店とは異なり、こちらではスイーツに合うコーヒーをブレンドしてペアリングを提案。この日におすすめしてもらったのは、季節限定の「和栗のモンブランパフェ」と、中煎りのブレンドコーヒー「繕(ツクロイ)」。バニラメレンゲや黒烏龍茶のゼリーなどが潜むパフェをワクワクしながら食べ進め、合間にほのかな果実感が漂うコーヒーを口に含むひとときは、心まで満たしてくれる幸福度だった。

自家製トマトソースを使ったピザトーストなどもいただけるけれど、あくまで主役はスイーツとコーヒー。気軽にテイクアウトでも楽しんでほしいという。専属のパティシエが地産地消も心がけて作る約20種類のケーキや焼き菓子と、自家焙煎豆をブレンドしたコーヒー5種類、「Mavam(マヴァーム)」のマシンで淹れるエスプレッソ系ドリンク6種類から、相性について教わりつつ選びたい。

ちなみに店名の着想は、陶磁器の破損部分を漆と金粉で修繕する技法“金継ぎ”から。古くは“金繕い”とも言われ、響きだけでなく、繋ぎ合わせることで新たな価値を生む概念に感銘を受けて名づけたそう。人との繋がりを大切にしながら、またコーヒーの生産環境を支援しながら、50年後も変わらずおいしい一杯を飲めるよう努めていきたいと語ってくれたご主人。“心を繕う”とのコンセプトどおり、すっかり整えてもらい、帰路の足取りは軽やかになっていた。

設計デザイン事務所「atelier hito」による内装。
窓際にカウンター席もあり、ひとりでも訪ねやすい。
大学時代にコーヒーに魅せられ、愛知県名古屋市の
「ペギー珈琲店」などで経験を積んだご主人。
カフェラテとカヌレ。欠点豆のコーヒー液を
染み込ませた「アンドーワークス」の器も素敵。
インパクトを放つ壁の装飾は、ドライフラワーと
暮らしのお店「その灯ぐらし」が施したもの。

店舗情報

tsukuroi(ツクロイ)
2022年秋に開店。自家焙煎のスペシャルティコーヒーと
スイーツの魅力が引き立つペアリングを提案している。
ヌガーグラッセやプリンなどイートイン限定メニューも。

Instagram
https://www.instagram.com/tsukuroi_

MAP

〒512-0932三重県四日市市小生町229-186
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