中部和菓子図鑑

高島屋の和菓子バイヤーが中部地域注目の和菓子をご紹介

和菓子の魅力、3代目が広く発信
夢菓子工房ことよ
・三重県四日市市

November 15. 2023(Wed.)

創業当時の思いはそのままに
世界へ進出する
“ことよスピリット”

「夢菓子工房 ことよ」の3代目・岡本伸治(のぶはる)さんは、和菓子業界の有名人。和菓子職人として多くの和菓子コンテストに挑戦し、数えきれないほどの受賞歴があります。『テレビチャンピオン和菓子選手権』(テレビ東京系)に計4回の出演を果たし、2002年の最終回スペシャルでは準優勝に。こうして実績を重ねた頃、父から社長業を譲られます。祖父が始めた店を父が受け継ぎ、さらに3代目にあたる岡本さんが修行先から戻って4年後の28歳の時のことでした。
父からは自由にやっていい、と言われ、商品開発から販売方法まで全てを任された岡本さん。みたらしだんごなどの看板商品に加え、新たに商品を開発し、8坪だった店舗をリニューアルして現在の店舗へ。
さらに和菓子のコンテストや大会に積極的に参加して受賞歴を増やし、和菓子講師として国内はもちろん海外にも教えに行くようになります。岡本さんの教えを受けた人が世界各地で和菓子づくりに取り組んでいるのです。
「夢菓子工房 ことよ」は、毎年のようにメディアから取材を受けるようになり、現在もテレビでの実演、コンテストの審査員、講師業と忙しい日々を送っています。
「お菓子を通して幸せを感じてもらい、お菓子を通して故郷を思ってもらえるような、そんなお菓子づくりをしていきたい」と語る岡本さんのスピリットは、四日市発で世界へと発信されています。

店内に飾られている工芸菓子の招き猫は「お伊勢さん菓子博2017」で工芸賞を受賞した作品。
生菓子がずらりと並ぶショーケース。
和菓子の素材を使った「和菓シュー」。
遊び心あふれるアイデア商品。

【店舗おすすめ】「金柑しずく」

「金柑しずく」は、岡本さんが父から店を譲り受けて最初に手掛けたオリジナル和菓子。金柑の蜜漬けにしたものを刻んで、白あんに混ぜ、大麦を焦がしてひいた粉と小麦粉をブレンドしてつくった生地で包んで、焼き上げたものです。
開発・商品化してから20年以上がたった後、「お伊勢さん菓子博2017」で、農林水産大臣賞を受賞しました。
「はじめて自分が1人で開発した商品でしたので、思い入れのあるお菓子です。なぜか20年以上たってからの受賞でしたが(笑)、とても嬉しかったですね」と岡本さん。
ちなみに同イベントでは、お菓子で製作した招き猫で工芸賞を受賞し、二重で喜ばしい結果を得ることができました。

さて、岡本さんの思いがたっぷりと詰まったこの「金柑しずく」。香ばしい生地の中にしっとりした白あん、ほんのり香る金柑と爽快感のある味わいが、とてもバランスのよい焼き菓子です。通年商品で、日持ちもするので、手土産にもぴったりです。

小麦と麦焦がし粉をブレンドして、
こねて生地を作る。
白あんに金柑の蜜漬けを刻んだものを入れて混ぜ、
生地で包み込む。
オーブンで焼き上げて完成。

店舗情報

夢菓子工房 ことよ
店名の「ことよ」は、よろずと同じ意味で、創業当時は雑貨や鮮魚も扱っていたそう。2代目の時代から和菓子専門へと変わり、今では遠方からも多くの人が訪れる地域の有名店に。店内は、名物のみたらしだんごをはじめ、洋菓子風のものや手土産にぴったりのものまで、アイデアたっぷりのお菓子がいっぱい並んでいる。

MAP

〒510-0943三重県四日市市西日野町4987-1
電話番号:059-322-1226
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