カフェで見る景色

カフェを愛する編集者・こんどうみきさんが中部地域のカフェをご紹介

身体も心も満たされる
ホップ種パンと植物性デリ
cafe385
(愛知県名古屋市)

January 31. 2024(Wed.)

手間暇かけたおいしさが
自家製の魅力を教えてくれる

2023年夏のオープン以来、訪ねられる日を楽しみにしていた自家製酵母パンとビーガン料理をいただけるカフェへ。近鉄の戸田駅より徒歩7分ほどの住宅街に佇む、ブルーの屋根がかわいいレトロな建物は、昭和からの喫茶店だったとか。入ってすぐ正面にカウンターがあり、ひとりで営む店主が持ち帰り用のパンを整えつつ笑顔で応じてくれた。

天然酵母パンを扱うベーカリーやカフェは増えたけれど、ここで焼かれているのは少々珍しいホップ種の酵母を使ったパン。ビールの主原料でもあるホップを山梨県の農家から仕入れ、煮出した液にリンゴのすりおろしやジャガイモのマッシュなどを加えて、種起こしや種継ぎをするそう。手間はかかるものの、癖を感じない軽やかな味わいで、日替わりのデリと合わせてランチで提供している。

この日の内容は、ひよこ豆とジャガイモのコロッケ、里芋とレンコンボール 自家製なめたけのせ、ニンジンとしいたけのレモンマリネ、菊芋と小松菜の和えもの、大根ともち麦のポタージュ、そして米粉入り食パン。愛知県愛西市で露地栽培にこだわる「愛菜農家」の旬野菜がふんだんに使われた料理は、風味や食感が驚くほど豊かで、植物性素材のみとは思えない満足度。添加物や白砂糖を使わず、麹で旨味を引き出すなどの工夫も。米飴の優しい甘さが広がるパンとともに、ゆっくりじっくり噛みしめた。

店主が伝えたいのは、自家製の魅力。日々のおやつも手作りしていた母親の影響で自然と料理に興味を持ち、大学時代に留学したアメリカのホームステイ先がベジタリアンの家庭だったことから、菜食の世界を知ることに。市内のオーガニックカフェに勤務した後、自宅でパン教室を10年続け、縁あってこの場所で教室兼カフェとして再スタート。ドレッシングやフィリングなども厳選した素材と調味料でイチから作り、安心できるおいしさを生み出している。

酵母の機嫌を伺いつつ当日の早朝からひとりで焼くため、パンの種類も数も少ないけれど、ランチ後にいただいたバナナとくるみのマフィンも、持ち帰った抹茶メロンパンも滋味深くて虜になった。毎月、最終週に開かれているパン教室にも興味津々……。お気に入りの調味料やヨーロッパで買い付けたアンティークなどの販売コーナーを設ける予定もあるそうで、日替わりのパンやデリとともに、次の訪問時にどんな出合いがあるのか楽しみでならない。

店名は語呂合わせで、店主のさえこさんの名前から。
ホップの苗を仕入れて自家栽培にも挑戦中だとか。
マフィンなど日替わりのおやつにもホップ種を使用。
オリジナルブレンドのコーヒーを使ったソイラテと。
暮らしのお店「kojima」の協力を得て、天井の模様や
窓枠の形などノスタルジックな要素を残しつつ改装。
看板のロゴは、木版画家の佐々木まりさんに依頼。
ホップの実を大切に抱えた妖精のイメージだという。

店舗情報

cafe385(カフェ さんはちご)
レトロかつシックな空間で、自家製ホップ種の酵母パンと
ビーガン料理をゆったりと楽しめる。パンの購入のみも可。
ランチの予約やパンの取り置きはインスタグラムを参照。

MAP

〒454-0984名古屋市中川区供米田2-1814
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