中部和菓子図鑑

高島屋の和菓子バイヤーが中部地域注目の和菓子をご紹介

出来たて和菓子の
美味しさを伝える
山田餅なるみ・愛知県名古屋市

March 15. 2023(Wed.)

ひっきりなしのお客さまと、
鳴海のまちとともに

ー前回の記事はこちら
https://koryu.chuden.co.jp/wagashi_7

大きな交差点の角地に「山田餅なるみ」はあります。伺った日も、次から次へとお客さまがいらっしゃり、大福や三色団子、おはぎ、おこわなど、出来立てホヤホヤのお菓子を買っていくので、棚にたっぷりあった和菓子が、みるみるうちに売り切れとなってしまいます。
「大福を買いに来たのに売り切れなんだぁ」と残念がるお客さまに、「少しお待ちいただければすぐに作ります! 今、餅生地が蒸しあがったところなので!」と女将さんが親切な一言を掛けていました。お店の後ろの工房では、スタッフが慌てて大福の材料を用意して、一つひとつ手作りし、木箱に並べて行きます。このコンビネーションの良さは、毎日のスピーディな手仕事あってのたまもの。出来立ての美味しさを知っているお客さまが多いからこそ、丁寧に誠実に作ることが基本となっているのでしょう。
中には、作りたてをすぐに食べたいからと、手にそのまま受け渡してもらって帰る人もいるのだとか。こうして出来立ての和菓子のおいしさを、まちの人々に伝え続けているのです。

黒糖はきめ細かくしないと混ざりにくくなるため、
この大きな塊からパウダー状にする。
くるみをひとつずつ丁寧にカット。
この時の包丁が刻むリズムが心地よい。
若手スタッフが活躍しているのも
山田餅なるみの特徴のひとつ。
若々しい感性で次々に新しい和菓子が生まれている。

【店舗おすすめ】「どら焼き」

一般的な物よりもワンサイズ大きめの「どら焼き」が「山田餅なるみ」の自慢の味です。ふんわりしっとり焼き上げた皮にはさまれているのは、粒あん、栗の甘露煮、これもまた自慢の餅生地の三位一体。この餅は求肥(ぎゅうひ)です。なぜかというと、求肥ならやわらかいので喉に詰まりにくいだろうとのこと。大きなどら焼きは、つい欲張って大きな口で食べたくなるもの。そんな時、もしも餅が喉に詰まったら大変! と、お客さまの食べやすさを追求した結果、求肥になったのだそうです。
「皮も餅もやわらかくてフワフワで、手作りの粒あんと栗の甘露煮とのベストマッチを楽しんでいただけますよ」と女将さん。皮の焼き印には、企業名を入れたり、「祝」などの文字を入れることも可能とのこと。名古屋市緑区の地元企業からのオーダーが多いのだそうです。まちに愛される和菓子屋さんを表すエピソードです。

どらやきを手で割ってもらったところ。
中の餅がやわらかく伸びておいしそう。
蒸し上がったばかりの餅生地。
これがすべての基本形。

店舗情報

山田餅なるみ
鳴海(なるみ)のまちの和菓子屋さんとして、地域の人々に愛され続ける和菓子店。毎朝、餅生地を蒸し上げ、あんを炊くところから始まる。ご主人と女将さん、そしてたくさんの若手スタッフが和菓子たちを次々と生み出し、それを待っているお客さまがいる。そんな光景を毎日見ることのできる稀有なお店である。

MAP

〒458-0801愛知県名古屋市緑区鳴海町字花井町14-1
電話番号:052-622-3081
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