教えて!グッドジェネレーション(アーカイブ)

“しるす文化”を追求する
モノづくり企業
シヤチハタ株式会社
(愛知県名古屋市)

April 01. 2025(Tue.)

未来へ繋がる新しい取り組みをおこなっている企業や団体を訪ねるこのコーナー。
今回は、2021年3月にご登場いただいた、シヤチハタ株式会社をご紹介。
印章(ハンコ)を主軸に、便利で楽しい商品を世界に送り出している企業です。
その歴史と事業内容、そして近年発売を開始した新商品の話題をお届けします。

創業当時の営業所。

1970年の大阪万博でも活躍
スタンプ台いらずの
スタンプを開発

「シヤチハタ」といえば、朱肉がなくても何度でも捺印ができる「ネーム印」でお馴染みです。多くの人が当たり前のように使っているこの便利なハンコには、創業100年というシヤチハタ株式会社が誇るモノづくりの技術が集積されています。
1925年に舟橋金造氏・高次氏の兄弟がスタートさせた舟橋商会がシヤチハタ株式会社の源流です。当時としては画期的な、インキの補充が必要ない「万年スタンプ台」を開発・販売していました。
その後、1965年にはインキが内蔵されたスタンプ台がいらない「Xスタンパー」を発売。続いて1968年にネーム印「Xスタンパー ネーム」が発売され、両者はロングヒット商品に。1970年の大阪万博では、Xスタンパーがパビリオンの記念スタンプに採用されました。
確かな技術力で、“しるす文化”を牽引する日本を代表する企業です。

発売当時の「万年スタンプ台」。
オフィスで親しまれている
「Xスタンパー」の初期モデル。

さまざまなニーズに
応えてきた
インキとゴムの技術力

シヤチハタが優れているのは、なんといってもインキとゴムの技術。紙だけではなく、金属やプラスチックなど、押す対象が多様化するにつれ、ニーズに対応できるインキを開発してきました。また、毎回押すごとに適量のインキが出て捺印できる印面のゴムの開発もおこなわれてきました。

印面のゴムは、塩をまぜて形成し、
あとから塩を抜くことでスポンジ状に
してインキを染み込ませる。
ネーム印の構造がわかる断面図。

アイデア商品や
デジタル対応で
時代を乗り越える

“押す”アイデアから、印章以外にも多くの商品が生み出されてきました。その中のひとつで、2020年からのコロナ禍で注目されたのが「おててポン」。手に押して、印影が消えるまで手を洗うことで上手な手洗いができるという子ども向けの商品です。

一方、コロナによる行動制限は、オフィス需要の低迷を招き、文具業界全体に影響を与えました。制限緩和後は回復傾向にあるそうですが、在宅勤務・リモートワークが一気に浸透したことやペーパーレス化、企業・学校のデジタル化が進むなど懸念材料はあるようです。
しかし、オフィスのデジタル化を見据えて同社が取り組んできた電子決裁サービス「Shachihata Cloud」が大きく伸びを見せたそう。1995年からデジタル商品を提供してきた積み重ねが実を結んでいます。

Shachihata Cloud
https://dstmp.shachihata.co.jp/

コロナ禍で需要が上がった「おててポン」。
手に押すという行為も楽しい。

パーソナル向けの
商品開発に注力

従来のオフィス向け商品にとどまらず、女性や子ども、子育て中の親などパーソナル向けの商品開発に注力し、バラエティに富んだ商品が生まれています。

その中のひとつが、2023年5月に発売が開始されたリップ型ネーム印「LIPIN(リピン)」。口紅を出すようにスティックを回すと美しい色の印面が出てくる商品で、事務用品であるネーム印に、美しさ・かわいらしさ・使う楽しさを加えました。クラウドファンディング「Makuake(マクアケ)」で、目標金額の2,300%を超えるという期待度の高さ。反響も大きかったそうです。

「LIPIN」
https://www.shachihata.jp/products/detail.php?product_id=9230

見た目は口紅。インキの色は3色から選べる。

子どももペットも!
みんなで楽しめるキットを
販売

子どもや子育て中の親向けには、手形・足形アート制作キット「First Art(ファースト アート)」を。肌に優しく、簡単に洗い落とせるインキ「パームカラーズ」を使って、手形や足形を押して付属のシールなどで装飾をし、オリジナルのアート作品をつくることができるというもの。小さな子どもでも安心して楽しめる商品です。

また、ペットの犬や猫の足形がとれる新感覚のキット「ぺたっち犬猫用」も大人気。フィルムを挟んで足形を押すので、ペットの足が汚れない点も好評です。

子どもの成長記録にもなる「First Art」。
「ぺたっち犬猫用」。家族同様の
ペットの思い出づくりに。

中部地域の他企業との
コラボレーションも

近年、手帳や日記に罫線のスタンプを押してデコレーションをすることが流行する中、「種類が多すぎてデザインを選ぶのに迷う」「複数個購入するとかさばる」といった悩みがユーザーから聞こえてきたそう。そこで、シヤチハタが2022年8月に発売したのが「回転デコレーションスタンプ」。これひとつで、複数の罫線柄を押すことができるとあってヒット商品に。
また、2023年5月にはミニサイズを発売。そして2024年1月には、美濃和紙を中心とした紙製品で知られる「古川紙工」の手帳デコレーションアイテム「わたしびより」のデザインとのコラボレーションで「回転デコレーションスタンプ わたしびより」を発売。中部地域のモノづくり企業同士が繋がり、新たな価値を生み出しています。

「回転デコレーションスタンプ」は
3カ月で1万個売れた大ヒット商品。

コンペティション受賞作品を
積極的に商品化

毎年開催している「シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション」。新たなプロダクトデザインを求めるコンペで、2024年で17回を数えました。常に新しい可能性を探求するシヤチハタの姿勢が垣間見える取り組みです。

商品化を前提とし、今までにないプロダクトデザインを求める催しです。
「これからのしるし」をテーマに開催された2020年にグランプリを受賞した「スーパー楕円はんこ」は、丸でも四角でもない、最も美しい曲線とされる楕円の印章。2022年に発売されました。
また、2022年に準グランプリを受賞した、黒の濃度を抑えて背景を演出することに重きをおいた「K=5%」が「いろもよう 淡彩 わらべ」の名称で公式オンラインストア シャチハタオフィシャルショップで発売。
さらに、同年の深澤賞受賞作品で、持つ部分を円筒ではなく薄い形状にすることで安定して持つことができる「つまめるはんこ」も商品化されました。

ユーザーの思いに応える「しるしの価値」を提供し、いつの時代でも「便利」「楽しさ」「安心・安全」という価値を社会に届けることがシヤチハタの使命だと言います。
今後も、いろいろな切り口で“しるす文化”を世界に広めていくことでしょう。

持ち心地もやさしい「スーパー楕円はんこ」。
「いろもよう 淡彩 わらべ」は、
白鼠色(しろねずいろ)、薄桜色(うすざくらいろ)、
象牙色(ぞうげいろ)、瓶覗色(かめのぞきいろ)の
4色を用意。
持ちやすく、押す方向もわかりやすい
「つまめるはんこ」。

2025年は創業100周年
特設サイトがオープン!

1925年に創業したシヤチハタ。2025年は100周年のアニバーサリーイヤーです。
記念の年に同社が掲げるスローガンは「さあ、もう ひと旗。シヤチハタ100周年。」。
1月にさっそく特設サイトが立ち上がりお祝いムード満点。
サイト内では、100周年によせた各界の著名人からのメッセージや創業から現在までの沿革を見ることができるなど楽しいコンテンツがたくさん。
なかでも印章を擬人化し100年の歴史を綴る“スタンプムービー”「100年の物語」は、CGを一切使用せず手作業で制作したこだわりの動画作品です。

また「ネーム9」の創業100周年記念カラーも登場。「世界遺産の情景」をテーマに、長い歴史の中守り継がれてきた日本の世界遺産と、シヤチハタが守ってきた印章文化を重ねてイメージされた深みのある色合い5色を展開しています。

スローガンにあるように“もうひと旗”上げるべく、次の100年も「押す文化」の先頭を走ることでしょう。

シヤチハタ株式会社 創業100周年記念サイト
https://www.shachihata.co.jp/100th/

100周年記念サイトのトップページ。
カラーのモチーフは、富士山・屋久島・
厳島神社・白川郷・日光東照宮。
シヤチハタ株式会社
1925年創業の舟橋商会が起源。インキが乾かない「万年スタンプ台」を開発・販売。1941年にシヤチハタ工業株式会社設立。スタンプ自体にインキを浸透させたXスタンパーやネーム印といったスタンプ製品や筆記具などで世界にもシェアを広げている。現社名は1999年より。(写真は稲沢工場)
愛知県名古屋市西区天塚町4丁目69(本社)
052-523-6935
上部へ戻る