中部和菓子図鑑

高島屋の和菓子バイヤーが中部地域注目の和菓子をご紹介

創業から102年
地域に愛され続ける老舗
長寿園・愛知県名古屋市

September 27. 2023(Wed.)

桜山の住宅街で夫婦が営む
古き良き和菓子屋

地下鉄「桜山」の駅から歩いて5分ほどの閑静な住宅街に「長寿園」は佇んでいます。
木造2階建ての昔ながらの店舗は1938年(昭和13年)築という昭和初期の建物。ガラスがはめこまれた木枠の扉を開けると、趣のある店内には商品がずらりと並ぶカウンターがあり、和菓子好きなら思わず見入ってしまう風景。
現主人の祖父が1921年(大正10年)に伏見で創業し、その後、現在の場所に移転しました。茶の湯のお菓子として、またお客さま用のお菓子や自宅用として、地域に愛され続けて、102年を数える老舗です。
「夫婦2人で営んでいますから、できることは限られますが、おいしいと喜んでもらえるお菓子を日々作っていきたいです」と店主の林さん。作りたての新鮮さや、風味を楽しんでほしいことから、多くを作りすぎず、丁寧にお菓子と向き合う姿勢は、創業以来変わらぬ考え方です。

やさしい面差しの店主・林圭一郎さん。
きれいに掃除された木べらが並ぶ風景。
餅米を炊く“おくどさん”は
ひび割れができるほど使いこまれている。

【店舗おすすめ】「味噌松風」

“味噌松風”とは、白味噌、小麦粉などを使って発酵させ、表面にケシの実などを付けてに焼き色をつけたカステラのようなお菓子で日持ちの良いもの。
長寿園の「味噌松風」は、1959年(昭和34年)に2代目が考案したお店の看板商品のひとつです。
表千家の吉田紹清宗匠(よしだじょうせいそうしょう)のご指導をもとに、名古屋の“上がり羊羹”と白味噌の“味噌松風”が2層になっています。
白味噌のカステラ部分と、上がり羊羹を2層にして蒸しあげた生菓子タイプは、他店にはない独自のスタイルとして、当時話題になったことでしょう。
9月中旬から翌年5月末まで作られています。

味噌松風が蒸しあがったところ。これを冷まして切り出していく。

棹状になった味噌松風。
ひとつひとつ丁寧に包装していく。
しっとりやわらかく、やさしい口溶け。

店舗情報

長寿園
ご夫婦で切り盛りする和菓子屋。基本のあん炊きはもちろん、すべて手作りでひとつひとつを丁寧に、がモットー。日持ちするものよりも、季節感のある風味の高い和菓子を優先したいという思いから、毎朝、ご夫婦の目が行き届くだけの量を作っている。オンライン購入も可能。

MAP

〒466-0843愛知県名古屋市昭和区菊園町1-16
電話番号:052-841-1084
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