遠州灘にて、コーヒーをお供に
シーサイドドライブ
July 26. 2023(Wed.)
自家焙煎の移動コーヒー店を営む『gina coffee』の増島有彩さんとともに、自然の中でコーヒーをいただく小さな旅の第3弾。
愛知県と静岡県に広がる遠州灘。今回は、浜名湖付近から御前崎までの静岡県の海岸線に沿ってドライブ。初夏の日差しが降り注ぐ海辺の景色の中を走った。
撮影協力/gina coffee
https://ginacoffee.base.shop/
https://www.instagram.com/gina_coffee___
遠く広がる砂浜の風景を求めて。
愛知県東三河の伊良湖岬と静岡県遠州の御前崎までの約110kmにわたり広がる遠州灘へ。
名古屋市から車を走らすこと約1時間半で、最初の目的地である静岡県湖西市の潮見坂に到着。
東海道のなかでも、西国から東国への道程ではじめて太平洋や富士山の見える景勝地として旅人に愛されてきた。国道1号線からすぐ近くの浜へ。
この日は、初夏の陽気に恵まれた。砂浜も海も空も広く、清々しい気持ちで旅のはじまりを迎えた。
東へと進み、浜名湖大橋をのぼって浜名湖を渡る。右手には湖に立つ大鳥居が見えた。
浜名湖を越えてすぐ、舞阪海岸に到着。陽が高く昇って真夏のような海景色が広がっていた。
ここで、昼下がりの珈琲休憩。
今回使用している手動のミルは、ポーレックスというメーカーのもの。アウトドア用なので、軽くて持ち運びに便利。丸洗いができるのも愛用してしまうポイントだ。
軸が安定していて挽きやすく、豆の個性や自分の好みに応じて粒度の調整ができる。
続く目的地は、日本三大砂丘の一つ、中田島砂丘。天竜川によって上流から運ばれた砂が築いた土地だ。目の前の急勾配な砂の坂を、足を取られながら一歩一歩登っていく。
坂を登ると見える景色は、砂と海と少しの植物。“なにもない”ことの美しさと儚さに心が動かされた。
まるで別の惑星に訪れたかのような異世界感のある光景。砂丘というだけあって、アップダウンのある砂の丘を登ったり下ったり。海辺の流木に座って太平洋を眺めたり。時間を気にせずのんびりと過ごした。
空もすっかり夕暮れになった。中田島砂丘から御前崎まで、東へ車を走らせること約1時間強。最終目的地の御前崎ロングビーチへとたどり着いた。
浜辺に行くと、すでに夕日は丘に隠れていた。黄金色に染まった西の空。
振り返って東の空は、青と黄色が混ざったような、なんとも表現できない色合いに。同じ空なのに、表情が違う。こんな広い空と海が見れるなんて。“いま”ここにいるからこその景色は、息を呑むほど美しかった。
日中の暑さが引いて、夕風が吹いていた。夕闇を迎える前に、旅のお供のコーヒーで一息。
今回の旅先に合わせて増島さんが持ってきてくれたのは、中煎りのペルー。
海辺の風景に合う甘い果実のような風味と、南米特有のナッツ感が特徴的な味わいだった。
旅の締めくくりに飲む一杯がからだに染みた。
陽が落ちるまであと数分。空は、赤も橙も黄色も青も、全てを混ぜた色へと変化していた。もう真っ暗になってしまうというのに、空の変化に惹かれて動けなかった。
「今日生きててなんだかよかったな」と思える一日。それは儚くも美しく変わりゆく空と海のある景色があったから。あの日の景色はもう2度とみることができない。だからこそ、誰といつどこで旅をするかは大切だし、旅って面白いのだと思った。
自然あふれる景観の中でコーヒーを楽しむ旅は今回が最終回。中部の自然の素晴らしさを感じ、じっくりとコーヒーを淹れ、味わう。まさに、自分たちだけの時間が流れる贅沢な体験だった。
今回撮影で使用したコーヒー豆は、gina coffeeのウェブサイトで購入可能。
撮影協力
●潮見坂
湖西・新居観光協会
053-596-9255
https://hamanako-kosai.jp/
●舞浜海岸・中田島砂丘
●御前崎ロングビーチ
御前崎市商工観光課
0537-85-1135
https://www.city.omaezaki.shizuoka.jp/soshiki/shokokanko/kankospot/beach.html