
年間300件以上のお店をめぐる編集者・かにぃさんが中部地域のカフェをご紹介
レトロな世界観を細やかに表現
姉妹の思いをカタチにした優しいカフェ
Stationery cafe konohi(静岡県 掛川市)
April 25. 2025(Fri.)
個性豊かな文具の数々と
手間暇かけたスープが評判
遠い昔からここにあるような店の佇まいに、アンティークな家具が配された店内。ノスタルジックな世界観に浸ることができるカフェが、掛川市にある「Stationery cafe konohi(ステーショナリーカフェ コノヒ)」だ。
建物は大正から昭和の時代を彷彿とさせるような木造だが、古民家を改築したのではなく「古い学校や病院をイメージして建てました」と話す店主。
開店は2010年。同じ掛川市内で古い民家を借りて3年半カフェを営んだ後、自分たちの思いをカタチにして、姉妹でこの店をオープンしたという。
「妹と2人、古いものとカフェ巡りが好きで、いつか自分たちのカフェを持ちたいと思っていました」
中に入ると、よく使い込まれた趣のある古い棚に、個性豊かなノートや万年筆などの文具がセンスよく並べられている。
「2人とも小さい頃から文房具が好きなんです。多くの人にとって、一番身近なものだと思うんですよね。大人になっても手に取るだけでワクワクしますよね」と、にこやかに話す姉の店主。まるでアートのような便箋や懐かしいガラスペン、海外から仕入れたというボールペンなど、手にすると嬉しくなるような文具は見ているだけで飽きないものだ。
こだわりの文具を眺めているうちに、厨房から温かくいい香りが漂ってくる。
カフェの人気メニューは、店主が手がける自家製スープとパンのセット。季節感を大切にしていているという スープは春なら香りのよいごぼうのスープ、夏ならジャガイモのビシソワーズなど、旬の食材を意識したものが多い。
訪問したこの日は、たっぷりの玉ねぎを飴色になるまでじっくりと炒めて仕上げたオニオンスープ。アクセントにマスタードの酸味と、まろやかなカマンベールチーズを加えたコクのある味。ほのかな甘味が特徴的な白イチジクとクリームチーズのパンにもよく合う。「パンも季節のスープに合わせてつくるようにしています」という言葉を聞くと、季節ごとに訪れたくなる。
スープとパンでお腹を満たした後は、手づくりのスイーツも楽しみたい。看板メニューは、ピスタチオのペーストをふんだんに使ったチーズケーキ。「香りを大切にしています」の言葉のとおり、口に入れた瞬間、ピスタチオの芳香がふわり。香ばしさと濃厚なチーズが混ざり合った贅沢な味わいで、酸味が穏やかでまろやかなkonohiブレンドとよく合う。
「いろいろなコーヒーを飲んだ中で、藤枝市にある『苑』の豆が一番好みに合いました」と店主厳選の一杯だ。
カウンター越しに庭の緑を望みながらゆったりと一人でくつろいだり、半個室のような空間で気の合う人とのひとときを楽しんだり、過ごし方はさまざま。「どんな方も、今日“この日”1日を大切にしてほしいという思いで名付けました」という店主の思いどおり、自分だけの時間を大切にできる、そんなカフェだ。

レトロな佇まいは、どこか懐かしさを覚える。

ひと時を過ごせる半個室。2階にも席がある。

ものも。文房具が目的の来店も多いという。

お腹も心も満たされるセットだ。

店舗情報

- Stationery cafe konohi
- レトロと文房具が好きな姉妹が営む、優しさと思いが詰まったカフェ。
一人でも複数人でも、ゆったり過ごしたい時にぴったりな雰囲気。