
年間300件以上のお店をめぐる編集者・かにぃさんが中部地域のカフェをご紹介
居心地のいい和モダン空間で
こだわりの五平餅とコーヒーを味わう
coffee喜多町喜多琉(キタマチキタル)&goheymochi喜多琉(愛知県・豊田市)
June 27. 2025(Fri.)
店主夫妻の好きなものを詰め込んだ
ホッとできる店内でランチ&カフェタイム
賑やかな豊田市駅前から東へ少し歩くと、メインストリートからわずかに入った路地に古民家風の佇まいの店が見えてくる。小さな前庭の新緑に目を奪われつつ扉を開けると、コーヒーの豊かな香りが出迎えてくれる。
「夫と2人でコーヒーとケーキの店を出すのが夢でした」と話す店主は、10年越しの計画で念願の店をオープン。「2人とも京都が好きなので、町家の雰囲気にしました」という店内は和モダンで統一されている。
木のぬくもりが伝わる飛騨の家具のイスは座り心地が抜群で、つい落ち着いてしまう。
カウンターの奥に目をやると、壁一面に色鮮やかなブルーのカップや器がずらりと並ぶ。
「沖縄も大好きで、食器は沖縄の『やちむん』を使おうとずっと考えていました」
2人のお気に入りばかりで彩られた空間は、長く過ごしたくなる居心地のよさ。
コーヒー豆は、師匠である岐阜県瑞浪市の「待夢珈琲店(タイムコーヒー)」と、沖縄の「YAMADA COFFEE OKINAWA」のものを使用する。定番からスペシャリティまで豊富に揃い、中には世界品評会で入賞した希少な豆を使う一杯もあり、じっくりと選びたくなるラインナップ。
特におすすめのイブラヒム・モカは、待夢珈琲店のマスターがイエメン共和国まで出向いて見つけてきた豆。スパイシーな香りと、じんわりと広がる豊かな甘さは、コーヒー好きならずとも思わず感嘆するおいしい一杯だ。
極上のコーヒーと合わせる自家製スイーツは、濃厚なガトーショコラやチーズケーキをはじめ、季節の果物を使ったものまで7〜8種類が並ぶ。
この日オーダーしたのは、地元で栽培する イチゴを使ったロールケーキ。ケーキ生地とたっぷりのイチゴクリーム 、甘酸っぱいイチゴがほろ苦いコーヒーと相性抜群で、互いのおいしさをより一層引き立てる。
また、カフェには珍しく五平餅が味わえるのもこの店の特徴だ。
「まちなかで五平餅が食べられるところがあまりないから、テイクアウトも多いですよ」と店主。
五平餅といえば、豊田市の郷土の味のひとつ。こちらの五平餅は、豊田市小原地区に住む店主のお母さん直伝のレシピだ。
「私たちが店をやるといったら、自分も一緒にやりたいって(笑)。五平餅は、母が小原のイベントでよく焼いていたものです。親戚が集まる時もいつも登場した、いわば我が家の味ですね」と笑顔で話す。
こだわりは、餅を固めすぎず柔らかく仕上げ、あまり焦げ目をつけないこと。ごはんに近いふわっとした食感で、やや甘めでコクのある味噌だれに食欲が進む。
季節で変わるお惣菜ランチプレートは、この五平餅に約6種類の自家製惣菜がついた満足感のある内容。稚鮎の甘露煮、柚子の香りをまとわせた卯の花、肉と野菜の旨味が詰まったミートローフなど、いずれも手間ひまかけた品ばかり。
日常を離れてホッと一息つける、とっておきのカフェだ。

と、店主が大好きな沖縄「琉球」の琉の字を
掛け合わせた。

店内を優しく包み込む。

これを目当てにくる客も多いという。
味噌ダレは4種類から選べる。

優しい味付けの季節のお惣菜と相性が良い。

贅沢なカフェタイム。色鮮やかなブルーの
カップや器は沖縄の「やちむん」。
店舗情報

- coffee喜多町喜多琉&goheymochi喜多琉
- 路地を抜けた先にある古民家風の隠れ家カフェ。こだわりのコーヒーと五平餅がいただける。五平餅はテイクアウトも可。