年間300件以上のお店をめぐる編集者・かにぃさんが中部地域のカフェをご紹介
春のように優しい
雰囲気に包まれながら
芳香なコーヒーと
クロワッサンを楽しむ
ハルノカオリ(名古屋市昭和区)
October 28. 2024(Mon.)
ひとりで訪れても寂しくない
誰もが癒やされる店に
にぎやかな大通りから少し入った場所にある、こぢんまりとしたカフェ。「春のように優しく暖かな雰囲気のカフェにしたい」という想いと店主の名前を重ねた「ハルノカオリ」という名に、ほっこりと心が和む。
「会社員時代、仕事が終わってからよく通っていた店で店主や常連さんと話しながら過ごす時間が癒しでした。仕事の疲れも一気に吹き飛んで」と話す店主。もともと大学で栄養学を専攻しており、料理やお菓子づくりが得意だったこともあって、いつか自分もそんな店を持ちたいと思うようになったという。
その後、ワーキングホリデーで訪れたカナダでのカフェバイトや、知り合いの店で間借りをしてカフェ営業を経験。2021年に念願の店をオープンした。
店主の人柄とアットホームな雰囲気に魅せられて、赤ちゃん連れのお母さんから90代のお年寄りまで実に幅広い人々が訪れる。友達とおしゃべりを楽しむ人、ひとりでゆっくりと本を読む人など過ごし方もさまざまだ。
「ひとりで来られて、私と話して過ごす方もいます。そういう店にしたかったので、嬉しいですね」と笑顔を見せる。
店の名物は、クロワッサンとコーヒーだ。クロワッサンは常時8種類をラインナップ。秋には栗と芋、クリスマスにはシュトーレン風クロワッサンと、季節限定商品も登場。
「使う素材はすべて、こだわりを持って育てている生産者から買うようにしています」と力を込めて話す店主。「思いを持ってつくっている人のものを使うことで、素材のおいしさを広めることにも貢献したいですね」。
そんな選りすぐりの素材を使ってつくられるクロワッサンは、生地の折り込みを少なくすることでしっかりとした食感に仕上げるように工夫。口に入れた瞬間、サクッと歯切れのいい食感とともに口の中にバターの芳香がふわっと広がり、なんとも幸福な気持ちになる。
この日選んだのはパン・オ・ショコラとプレーンのクロワッサンだ。
パン・オ・ショコラには、焼いても風味が損なわれないフランス・カカオバリー社のチョコレートを使用。コクのあるチョコレートの味わいと生地との相性は抜群だ。ほんのりと甘味と塩味を感じるプレーンと味の違いを比べるのも楽しい。
コーヒーもまた「個人的にも大好きだから」と全国さまざまなところから豆を取り寄せて厳選し、愛媛のCoffee Reverbのものをチョイスしたと話す。
「焙煎所にも足を運んで、生産者の想いを聞いて選びました。深煎りの豆は、ともすれば苦くなったり焦げたような香りが残ったりしがちですが、ここの豆は甘味があっておいしい」という店主の言葉どおり、冷めても香りが残り、重厚感ある苦味の奥に甘味の余韻も感じられる一杯だ。
こうした香り高いコーヒーによく合う焼き菓子もぜひ、ということでオーダー。
店主が懇意にする愛知県愛西市の「水谷酒造」の酒粕を練り込んだ酒粕ブラウニーは人気のスイーツ。ほんのりと香る酒粕と濃厚なチョコレートがリッチな味わいで、ちょっと贅沢な気分にさせてくれる。
こんなカフェがご近所にあったら毎日でも通いたい、そう思わせてくれるとっておきの一軒だ。
店舗情報
- ハルノカオリ
- 都会にひっそりと佇む小さなカフェ。クロワッサンとコーヒー、焼き菓子を提供する。世代を問わず、地元の人々から親しまれる店だ。