年間300件以上のお店をめぐる編集者・かにぃさんが中部地域のカフェをご紹介
涼やかな清流と森に包まれて
ゆったりと過ごせる隠れ家カフェ
Ryo-an (岐阜県瑞浪市)
June 26. 2024(Wed.)
景色を愛でつつ美味を楽しむ
“森がごちそう”の創作ランチ
岐阜県の東に広がる東濃地方は、知る人ぞ知る名泉の郷。
そのひとつ、鬼岩温泉は飛騨木曽川国定公園内にある名湯で、豊かな自然とひっそりとした風情が特徴だ。
そんな鬼岩温泉にある温泉旅館「了山」の敷地内、鬱蒼とした森の中にあるのがカフェ「Ryo-an(りょうあん)」。涼やかな川のせせらぎを聞きながら木漏れ日が眩しい小径を進むと、広いテラスを備える洗練された建物が見えてくる。歩くだけでも、十分に心が癒やされる情景だ。
「水と緑、岐阜県の大自然に囲まれた空間でゆっくり食事が楽しめる、そんな大人のカフェをつくりたい」というオーナーの想いが込められた店内は、一面ガラス張りで、どの場所からも森を一望できる。店内にいても、まるで森の中にいるような雰囲気に包まれる。
中でも人気なのは、5年前に増築したテラス席。「川床のような席をつくったら面白いのでは」とオーナーが発案し、足元はガラス張りにしてある。下を見ると、まさに川床まで見えるような清らかな水が流れ、それだけで涼やかだ。
こうした佳景とともに楽しむランチは、了山の料理長が和食の技を活かして手がける月替わりの創作フレンチ。「ランチは料理と同じくらい景色もメイン。森の空気に包まれながら、旬の恵みを味わってほしい」とその名も“森がごちそうランチ”だ。取材で訪れた5月のテーマは「新緑」。メインの銀鮭は和食の幽庵(ゆうあん)焼き の技法を使い、アボカドとチーズを添えて味に奥行きを与える。脂ののった鴨には、相性のいい赤ワインソースでまとめて軽やかな味わいに。他にも、湯葉やじゅんさいなど、和の素材を巧みに使い、見た目も繊細なひと皿に。「過剰な味付けをせず、あくまでも素材の味を大切にしています」と料理長は話す。目の前に広がる緑を眺めながらいただくランチはこの上なく贅沢で、まさに“森がごちそう“そのものだ。
カフェメニューもこだわりが満載。コーヒーは神戸にある炭火焙煎の「萩原珈琲」の豆を使用。オーナー自らが日本全国で美味しい珈琲を求め探し歩き、たどり着いた逸品だ。
注文が入ってから一杯ずつ丁寧にハンドドリップで淹れるオリジナルブレンドは、香り高く、コクと苦み、酸味のバランスが秀逸。しかも冷めてもその芳香や味は変わらない。清々しい森の空気を楽しみながらゆっくり味わうのにぴったりの一杯だ。
もちろん、ケーキやスイーツも充実している。特に夏は、京都産の葛粉でつくる冷やしぜんざいがおすすめ。ツルリとした喉ごしとほのかな甘味は、夏ならではの美味。
たまの休日、日常の喧騒から逃れて、緑の中で心も体もリラックス。今年の夏、涼を求めてのプチトリップに、ぜひ訪れてみては。
店舗情報
- Ryo-an
- 四季折々の空間が美しい、森に囲まれた大人の隠れ家カフェ。ランチは事前予約制で限定30食。7歳以下のお子さまは入店不可。