毎月違った食材をテーマに人気料理家・ワタナベマキさん考案のレシピをご紹介
【特別編】
しらすで有名な
静岡・用宗(もちむね)漁港へ
June 07. 2024(Fri.)
静岡県の用宗(もちむね)漁港といえば、良質なしらすが水揚げされる港として有名です。
しらす漁が解禁になる時期は、漁港がいっそう賑わいます。しらすが豊漁だと、町全体がどことなく活気づいてくるから不思議なものです。
今回は、ワタナベさんが、富士山をのぞむ用宗漁港でしらす漁や周辺の美味しいスポットを取材した様子をご紹介します。
富士の豊かさ、南アルプスの恵みが
用宗のしらすの味わいとなる
用宗に取材で訪れた日は、曇りの1日でした。それでも富士山の頂きを港から見晴らせた瞬間は、ワタナベさんも思わず「わぁ!富士山だ!」と声が出ます。
富士山が見える場所というのは、単に景色が良いだけではありません。標高が高い山から海へと流れ込む距離が長い分、山の栄養分をたっぷりと含んだ水が海まで届きます。つまり、海の生物が豊かに育つところでもあるのです。
用宗漁港は、安倍川(あべかわ)の河口近くにあり、陸から2〜5km沖で漁をしています。富士山や南アルプスに降った雨がゆっくりと大地に染み渡って、ミネラル分を蓄え、安倍川の河口まで流れてくるのです。まさにこの場所で用宗のしらすは、山と海の栄養をたっぷりと享受して育つわけです。
用宗のしらすが美味しい理由はもうひとつ、独特の漁の方法にあります。
3艘の船が1チームとなり、2艘で漁をし、残りの1艘は運搬専用船としてとれたてのしらすを港まで複数回運搬します。そうすることで、新鮮なうちに陸揚げされ、港での値付け、さらに加工会社への運搬、釜あげなどの加工までの一貫したスピーディーな流れを可能にしています。
こうした例はほかの漁港にはなく、用宗だけの方法。しらすといえば用宗、と言われる所以です。
ワタナベさんが用宗で見つけた
美味しいものとは!
朝一番で用宗漁港や加工会社を取材した後は、用宗港の近くの美味しいものを訪ねて回りました。
「しらす丼と海鮮の店 次郎丸」では、とれたての生しらすや釜あげしらすがのった丼に舌鼓。臭みがまったくない生しらすの美味しさに唸りながら、釜あげしらすのやわらかくて風味豊かな味と比較するのも面白く「生しらすがこんなに美味しいものだったなんて! 水揚げされて30分以内に加工されるから鮮度が保たれているのですね。食べるとよくわかります」とワタナベさんも感心しきり。
港で仲買人の方たちから“ごま油と相性がいいよ”とか“用宗産は、とにかく新鮮が命だから”などと教えてもらったこともあり、早速いろいろなメニューのアイデアが浮かんでいるようでした。
しらす丼を堪能した後には、静岡産にこだわりのあるジェラート屋へ。
用宗漁港のすぐ近くの海岸沿いにある「LA PALETTE(ラ パレット)」に、しらすを使ったジェラートがあると聞いたからです。何種類もあるジェラートの中から、ワタナベさんが選んだのは、しらすヨーグルト・梅ミルク・塩チョコレートの3種。
静岡産の食材にこだわっているところも、しらすをジェラートにする挑戦も「素晴らしいですね!」とワタナベさん。
しらす丼と鮮魚の店 次郎丸
静岡市駿河区用宗2丁目17-2みなと横丁1階
054-256-4649
LA PALETTE
静岡市駿河区用宗4丁目21-12
054-204-6911
https://www.instagram.com/lapalette_gelato_bar/
静岡産オリーブでつくった
オリーブオイルに出合う
「静岡産100%のオリーブオイルがあったなんて!」とオリーブオイル好きで知られるワタナベさんも驚いたのが、静岡県にあるCREA FARM(クレアファーム)のオリーブオイル事業です。
栽培から搾油、販売までをすべて自社でおこなう六次産業化モデルを構築しており、現在、静岡市の日本平と藤枝市にオリーブ農園を持っています。
今回、ワタナベさんが訪れたのは、藤枝市にある同社経営のcrea village(クレアヴィレッジ)。テーマは、食と農のファームパークで、訪れる人は、オリーブオイルを味見して購入したり、レストランでオリーブオイルを使った逸品メニューを楽しんだり、オリーブ栽培を学んだりと、いろいろな体験を通してオリーブにふれることができます。
普段から、オリーブオイルと塩があればなんでも美味しく食べられる!と豪語するワタナベさんは、こちらのオリーブオイルに興味津々。スパイシーなものからマイルドタイプまで、さまざまなオリーブオイルを試飲し、料理にどう活かすか?とアイデアを巡らしていました。
CREA FARM
https://creafarm.jp