毎月違った食材をテーマに人気料理家・ワタナベマキさん考案のレシピをご紹介
【特別編】
水と空気が美味しい土地で
育ったトマトが宝物に
明宝トマトケチャップ
(株式会社 明宝レディース)
February 09. 2024(Fri.)
清流長良川を抱く岐阜県郡上市に、全国から注目が集まるケチャップメーカーがあります。
岐阜県産トマト果汁100%で添加物なしの「明宝トマトケチャップ」を製造する株式会社 明宝レディース。かねてから、製造現場を訪ねてみたい!と切望していた料理家のワタナベマキさんが、郡上市の美しい風景とトマトケチャップの製造工場を取材した様子をご紹介します。
農村の女性たちで結成された
明宝レディースとの出会い
岐阜県郡上郡明宝村(現・郡上市)で生まれたトマトケチャップが希少価値の高い商品として全国に出荷されるようになり、明宝の名前が一躍有名になったのは、平成になってから数年がたった頃でした。
農村の主婦グループが地域を活気づけるためにトマト栽培を始めたのが「明宝レディース」の始まり。トマト栽培が軌道に乗ると、今度は味は同じく美味しいのに、サイズが規格外だというだけで廃棄されていくトマトを、なんとか再利用することができないかとの思いがうまれました。その思いからプロジェクトを立ち上げたことがケチャップ製造の始まりでした。そして、その美味しさと品質の良さは全国的に知られることになりました。
商品名は「明宝トマトケチャップ」。
ワタナベさんは、以前より明宝トマトケチャップを愛用していたこともあり、いつか製造現場とつくっている人たちを取材したい、と思い続けていました。
そんな長年の希望が叶って、今回郡上市の明宝レディースを訪れました。
そこで待っていてくれたのは、全員が地元の主婦だという女性グループ。とにかく皆さんがパワフルで元気はつらつ。明宝レディースのはじまりの話から、ケチャップを使った美味しい献立の話まで大盛り上がり。
その後、ケチャップの製造工程と、明宝トマトケチャップを使った「鶏(けい)ちゃん」のタレづくりを見学し、特別に作業にも参加させていただきました。
明宝トマトケチャップを
使った料理で
刺激をたっぷり受けた
ワタナベさん
でき立ての明宝トマトケチャップを試食したワタナベさん。
「調味料を食べているというよりも、トマトそのものを食べているような美味しさがありますね!」という感想に対し、「一般的に、ケチャップやトマトソースをつくる際に使われるのは、水分の少ない加工用トマトなんです。明宝トマトケチャップは、地元の人たちが生で食べているトマトの味をそのまま活かしてつくっているので、確かに調味料っぽくないかもしれませんね」と、明宝レディースの4代目社長である清水奈美江さんが教えてくれました。
明宝レディースの皆さんが普段どんな料理に使っているかが気になり取材すると、「肉じゃがやきんぴらでみりんの代わりにする」「焼きそばのソースに混ぜる」「鍋料理のポン酢に混ぜる」など、いろいろなアイデアが。
さらに料理以外への展開も期待値が高まっているようで、サントリーホールディングス株式会社が開発した47都道府県の「地元ビアボール」では、「岐阜トマトビアボール」として、明宝トマトケチャップを使ったカクテルが紹介されています。
また、明宝レディースの皆さんが調理スタッフとなって切り盛りしている飲食店では、明宝トマトケチャップを使用したメニューがたくさんあると聞き、早速訪問することに。
「和食処おかみさん」は、せせらぎ街道沿いにある「道の駅・明宝 麿墨の里公園(するすみのさとこうえん)」の一角にあり、明宝の郷土料理を中心に、明宝トマトケチャップがいろいろなメニューに使われています。
奥美濃地方の郷土料理である鶏ちゃんのタレに入れたり、ハムステーキのツケダレにしたり、ナポリタンやオムハヤシではトマトの味をたっぷりと。
直前に「鶏ちゃん」の味付けの仕込みを体験したばかりのワタナベさん。明宝トマトケチャップが使われている「鶏ちゃん定食」を選びました。タレは郡上味噌をベースにしたもので、ケチャップを使っているのは「和食処 おかみさん」だけとのこと。
ここでの明宝トマトケチャップの使い方にインスピレーションを得て、ワタナベさんらしいメニューを考案することになりました。
和食処 おかみさん
https://meiho-ladies.co.jp/okamisan/
地元ビアボール(サントリーホールディングス株式会社)
https://www.suntory.co.jp/beer/beerball/jimoto/
清流と美味しい空気を
味わう。
訪れたい場所がいっぱいの
郡上市明宝
山や川で遊ぶことが大好きなワタナベさんは、水が豊かで空気が美味しい郡上市を訪れることが、もうひとつの楽しみだったと言います。
麿墨の里公園の裏手にまわると、そこは川のせせらぎを聞きながら散歩できる遊歩道が。
「わぁ!水がきれい!」とはしゃいだ声でどんどん川へと降りていくワタナベさんの姿がとても印象的でした。
また、麿墨の里公園には、野菜直売所「新鮮市めいほう」や、お肉屋さんの「めいほうミート」などもあり、美味しいものを訪ねて歩くのが大好きなワタナベさんにとっては“ワンダーランド”。
新鮮市めいほうには旬の野菜がたくさんあり、「これはどうやって使うのですか?」と偶然出会った地元のお母さんにワタナベさんが尋ねると、気軽に教えてくれました。
「地元の方々とこうして触れ合って、お話することが、なによりも楽しいし、料理のアイデアにつながります!」とワタナベさん。生産者や地域の人々と会話し、その土地の空気を感じ取ってはじめて食材ときちんと向き合える、ということなのかもしれません。
野菜直売所 新鮮市めいほう
https://www.meiho-masters.co.jp/shinsenichi
めいほうミート
https://meiho-meat.business.site/