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中部地域の注目パーソンにインタビュー!

番外編
ガイアフローディスティリング株式会社 代表取締役
中村大航さん
“静岡らしいウイスキー”を目指して

December 18. 2023(Mon.)

「交流Style」の前身「交流」で、過去にご紹介した方のその後に迫ります。
今回は、2020年6月にご登場いただいたガイアフローディスティリング株式会社代表で「ガイアフロー静岡蒸留所」にてウイスキー製造をおこなう中村大航さん。2020年当時は、ちょうど初めての商品リリースを間近に控えていたタイミングでした。今回は、その後の変化などを伺いました。

ー過去のご紹介記事はこちら
【「交流」no.116 P2~5】

まったくの異業種から
ウイスキーの世界へ

もともと、精密機械部品を製造する会社を営んでいた中村さん。ウイスキー好きが高じてスコットランド・アイラ島へ旅をした際、創業間もない「キルホーマン蒸留所」を訪れました。その小さな蒸留所が持つスピリットや仕事の様子、地域を大切にする思いに感化された中村さんは、自身でもウイスキーをつくろうと決意します。
「その蒸留所はまだ歴史が浅く小規模でしたが、モノづくりへの愛があれば世界に通用するウイスキーができるのだと知り、衝撃と感動をもらいました。同時に、ウイスキー事業に果てしない可能性を感じました」と中村さんは語ります。

「丁寧にひとつのものをつくる、そんな世界に
身を投じてみたいと思っていた」と中村さん。

地元木材を使った
ウイスキーづくり

ウイスキーづくりを決意したものの、ノウハウも何もないまっさらな状態。まずはウイスキーの輸入販売から開始し、業界内でのネットワークづくりから始めました。
ある日、静岡市が所有していたオクシズエリア玉川地区の造成地を紹介された中村さん。山林が周りを囲む開けた土地で、すぐ横を川が流れ、見晴らしも良い場所。この場所なら、地元の木材を利用したウイスキーづくりができるのではと、蒸留所の建設が決まりました。
通常木製の発酵槽はオレゴンパイン製ですが、地元の杉材を使った発酵槽を特注しました。また、世界で唯一とされる薪直火蒸留機で、地元の間伐材を薪にして燃やした熱で蒸留する、世界でも珍しい方法でのウイスキーづくりを確立しました。

豊かな自然に囲まれた清々しい場所。
手前が薪を焚べて使う薪直火蒸留機。
世界初、杉材でつくられた発酵槽。

製造開始から4年、
初のリリースを果たす

もちろん、酒造経験のない中村さんにとって蒸留所の開設までは決して平坦ではありませんでした。
地元の林業組合や、杉の発酵槽づくりの際に全国で唯一、中村さんの要望に応えてくれた桶屋、薪直火蒸留機の運用についてアドバイスをもらった薪ストーブの専門家など、さまざまな人たちに支えられて、2016年に静岡産ウイスキーの製造がはじまりました。そして熟成期間を経て、2020年12月、静岡蒸溜所で初めての商品として「プロローグK」が誕生したのです。

「初めてのシングルモルトとあって、ブレンドの出来具合や商品パッケージの方向性など、何が正解なのか確信が持てない中、文字通り手探りでの進行となりました。お客さまからの反応はとても好評で、正直、胸をなで下ろしました。海外での評価もかなり高く、これを機に知名度が上がりました」と中村さん。

1950年代に製造された国産蒸留機「K」
から生み出された「プロローグK」。

3つのシリーズで
シングルモルトをリリース

「プロローグK」の発売以降、コンスタントにオリジナルのウイスキーが発売されます。
薪直火蒸留機から生まれた「プロローグW」が2021年6月に、蒸気間接加熱の「K」と直火の「W」をブレンドした「コンタクトS」が2021年11月に、その後も次々と「K」「W」「S」のシリーズがリリースされてきました。

「Sは飲み飽きない、バランスの取れた味わいの定番商品として、WとKはポットスティル(蒸留機)や麦芽の違いなど特徴を打ち出す限定商品としてリリースをしています。味わいや度数などの反応もよく、熟成年数の若いウイスキーと思えないなめらかさがあると言っていただいています」と好評を得ています。

次回は、夢だった「オール静岡ウイスキー」の発売やこれからの展望について伺います。

静岡蒸溜所のシングルモルト「K」「W」「S」。

プロフィール

ガイアフローディスティリング株式会社 代表取締役
中村 大航
静岡市清水区生まれ。製造業を営む家に生まれ、事業を継承するが、酒造経験がないまま、まったく畑違いのウイスキー事業を興す。2012年1月、ガイアフロー株式会社を設立し、ウイスキーの輸入販売を開始。2014年10月、ウイスキーの製造会社・ガイアフローディスティリングを設立し、2016年8月にガイアフロー静岡蒸留所竣工。同年10月からウイスキー製造を開始した。
ガイアフロー静岡蒸溜所
静岡在住のアメリカ人建築家デレック・バストン氏の設計で、外装・内装ともに静岡の木材がふんだんに使われている。静岡の風土に根ざしたウイスキーづくりがなされる場所として、またオクシズの代表的なスポットとして新たな風景となっている。

MAP

静岡県静岡市葵区落合555
電話番号:054-292-2555
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